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真夜中のユートピア


*ようこそいらしゃいませ。こちらは完全18禁BL小説のブログです。
BLという言葉に馴染みの無い方や、男性同士の恋愛に嫌悪感や偏見を持たれる方、18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。


当サイトは基本的に18禁です。
又一部暴力的な描写を含む場合があります。苦手な方は閲覧をご遠慮下さいませ。

 ★更新情報★

ミルフィーユ 2016年5月7日〜
1話 / 2話 / 3話 / 4話 / 5話 /

近況報告☆ 2016年5月4日 


初めての方へ<短編試し読み(読み切り)
短編試し読み切りです。単品でも読めますが、話はエロ★から右へ何となく繋がってます。

陸軍特別士官学校シリーズ
エロ★/ちょい過激 SM検査(朝霧)/エロ★★/まぁ過激 SM検査(湊) /
エロ★★★/過激
やっぱり教官がいい!(朝霧) / エロ★★★★/とても過激 クロス・セックス
朝霧と湊のその後の成り行きは書籍にて通販致しております☆
*左カラム中央にあります。

ほのぼの
ネクタイの距離1///4最終話 *続編あり。中編項目にあるタイトルをクリックすると詳細項目が出てきます。


― 長編 ―

万華鏡-江戸に咲く-<全92話完結>
[切ない系/時代モノ/トリップ/自慰/SM]
目の前に立つ美しい男から受け取ったもの、それは時代を超える能力。
果たして自分の逢うべき人は誰なのか。夜と呼ばれる若い風来坊、そして抱月という町医者との出会い。必然の歯車は動き出し、美月の平凡な日常が一変して江戸と現代を行き来する生活が始まる。


一周年記念 万華鏡-江戸に咲く-「やせ我慢」<全18話完結>
ブログ開設一周年記念という事で万華鏡のその後です。


すれ違った後に 【第一部】 <全10話完結(続きあり)> 
[切ない]  
中学の時から親友だった。だから大学までずっと一緒に居た。だが秘めた思いがすれ違う果てには・・。

それから
すれ違った後に【第二部】<全73話完結>
[切ない系/鬼畜/SM/排泄]   
「すれ違った後に」の連載。弘夢と淳平のその後の動向です。第一部と大分毛色が変わります。閲覧にはご注意下さい。

それから―クリスマスの誓い―
クリスマスSS。その後の弘夢と淳平のクリスマスシーンです。
前編 / 後編

貴方の狂気が、欲しい<全64話完結>
木戸×時枝 「それから」のスピンオフ。

木戸の憂鬱
「それから」のスピンオフ。


小悪魔な弟
<全51話完結>
[自慰/兄弟/ショタ/玩具]
真面目で鈍感でスポーツ一色の兄を落とすべく天使の顔をした腹黒の小悪魔な弟の戦いが成長と共に動く!
小6編、中学編、高校編と成長していきます。


小悪魔な弟 番外編~東城兄弟~
アネモネ<全13話完結>
[切ない/兄弟/シリアス]
「小悪魔な弟」のスピンオフ作品です。小悪魔な弟に出て来る東城兄弟の切ない物語。

「小悪魔なお兄ちゃん」
あの真面目な侍お兄ちゃんが酔っぱらった!?酔ったお兄ちゃんに攻められる潤!「小悪魔な弟」のスピンオフ。
1話
/ 2話 / 3最終話  


悪魔と野良犬ノ仔<全52話>
野犬に育てられた子の愛し方とは。




― 中編 ―

恋のぼり <全7話完結> 
家事手伝い×家の息子たち [シリアス&ほのぼの。]
時は大正頃。身寄りの無い少年は寺で住んでいた。ある日裕福な家族が家事手伝いを探しにやって来る。そこで出会うその家族の兄弟と少年の行方。  
媚薬の雨水 恋のぼり続編<全15話完結>
龍ノ助×雨音×俊平[兄弟/時代/3P]
「恋のぼり」の続きです。兄弟たちのそれぞれの秘めた欲望が動き出す。

相部屋のメリットデメリット<全20話完結>
[強気受け/リバ/大学生/ルームシェア] 
3万HitキリリクのSSです。リクエスト案“ルームシェア”というシチュエーションで書かせて頂きました!相部屋になった相手は自分を狙うゲイ!しかも美海が寝ててもお構いなしにお相手を連れ込む…。ノンケの美海はどうするか!SSですが20話という長さになったので中編にも載せました!

ネクタイの距離 <続編込みで36話完結>
[ほのぼの/高校生×高校教師]
高校生の学が好きになってしまったのは何と教師。相手は大人。じれったい純愛は成就するのか。
ほのぼの4話完結プラス、シリアスな続編32話完結!
 

妄想列車<全27話完結>
[電車/ライバル/リーマン]
満員電車の中で押し潰されそうになっていた森(シン)。密接した相手に不可抗力で唇が触れてしまった相手と始まる恋は思わぬ方向へと進む。



― 短編 ―

ジュイエ<全7話完結>  
[切ない/夏の恋]
長い髪で顔を隠し汚く大きな眼鏡をつけ、ダサい服装の静は今時風の自分勝手で浮気症のイケメン祐一とある島へ旅行へ行く。そこで始まる胸を焦がすような恋とは・・。

<全7話完結>
[兄弟/近親相姦/自慰] chobonさんイラスト
田舎が舞台の3兄弟の話。兄弟の中で揺れ動くその禁忌の想いが縺れ合う。

奴隷の休息
<全2話完結>
[侮辱/学園/排泄]  しごさんイラスト
高校に入ってすぐに、同じクラスメートの三宅と目が合った瞬間から従属関係になったサトル。侮辱が至福の高校生の休息の一コマ。
前篇★ / 後篇★

終末のド―ロ<全2話完結>
[破滅/狂気/純愛/パニック] pioさんイラスト
いつの間にこんなに侵蝕が進んでいたのだろうか。ビニールテープで隔離された世界には破滅しかなかった。そんな中で幼馴染の高校生、智己と泉は生き抜いていく事ができるのか。
前篇★ / 後篇★

それは野分けのように<1話完結>
[ほのぼの] 希咲慧さんイラスト
学生の頃から片思いだった先輩と社会人になってやっと付き合えるようになったというのに素直になれない充(ミツル)。そんな二人の日常の一コマです。
1話完結

ユメ芝居<全6話完結>
[リバ/ほのぼの老ロマンス]
いつも行く駄菓子屋で見かけるその人に恋して月日は経った。求める言葉と気持ちはユメのようなお芝居なのか。
 /  / ★3 / ★4 /  / 6最終話


― SS ―
SSの詳細目次ページはこちらから


  
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― 二次創作 ―
銀魂、ラブレスの二次。いずれも短編です。
詳細目次ページはこちらから

 
リアルイッテQ<一話ずつ読みきり>
このカテゴリではリアル体験を不定期ですがUPして行こうかと思っています。
家庭の事情で幼い頃に発展途上国に住んでいた自分の動物たちとの絡みを綴っております。

山猫のはなし / 猿のおはなし / 夜の風景 朝の風景 / アリとヤギのはなし/
ネズミvs父のおはなし/カメレオンのおはなし


Pixiv




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ミルフィーユ 5

 江角の口内で不規則に上下に痙攣しながら射精し続けているのがわかる。全身が痺れるように気持ちいい。
 約数十秒だったと思う。江角は流しの方に行っていた間、俺は放心状態だった。
 帰ってきた江角は「大丈夫?」と問いかけながらベッドに座った。俺はだらし無く出しっぱなしだった下半身をのそのそと仕舞いながらベッドによじ登った。
「死ぬほど良かった」
 そう言うと、江角はクスクス笑いながら「そう?」と答えた。そして続けて言った。
「俺も……爽太のキス、死ぬほど良かったよ」
「そう? もう一回する?」
「する」
 俺たちはまた舌を絡めた。
 やっぱり気持ち良い。柔らかくて、それでいてエロい動きをする。

(そういえば……)

 俺は江角の股間に手をやった。
「あっ…ダメっ」

ーーやっぱりだ

 江角の股間は服の上からでも分かるほど熱を持って勃ち上がっていた。
「お前、まだイってないだろ」
「そう…だけど…だから、触っちゃダメ」
 江角は苦しそうに俺の手をどけようとした。俺はその両手をまとめ上げた。
「えっ……ちょっと……やっ」
 俺は優位な笑みを浮かべながら江角のパンツを緩めて引きずり下ろした。
「そんな……っ…だって爽太……男ムリだよっ」
「そう? キス、したよ?」
 俺は紅桜色に染まった江角の肉棒をそっと掴んだ。
「した…けどっ……ああんっ」
 江角はたまらない顔で腰をよじる。
 握った江角の肉棒は先っぽからトロトロと透明な液体が溢れてあっという間に俺の手を濡らしてしまった。
 俺はそれをヌルヌルと上下に扱いてやると、江角の抵抗は弱まり、その代りに腰が上下に動いてきた。
「あんっ…あんっ…きもちぃよぉ……だめぇっん」
「江角……」
「あっ、あっ…りょう…涼…って呼んで」

 ーーそうか……江角の下の名前はそう言えば涼だった

 俺は江角の耳に舌先を差し込みながら「涼」と呟くと「あっ、あっ」と反応しながら腰の動きが早くなっていった。予想外にいやらしい腰の動きだ。この動きを見てるだけで俺の下半身もまた硬さを取り戻してきた。この年になってこんな事は初めただ。
 江角の腰の動きに気を取られてると、力無い手で服を引っ張られた。
 江角の顔を見てやると、薄く涙の浮かんだ目で言葉では追いつかない気持ち良さを伝えてきた。
「イっちゃうよぉ……あぁんっ」
 江角は幼い声で甘えるように叫んだ。
「すごいヌルヌルだ……ほら、こんなに滑るッ!」
 俺は更に力を込めて、自分でいつもそうするように高速で扱いてやった。
「ハァんっ…! すごぃぃ……んッ! ……いくぅんッ! ……いくぅんッ!!」
 江角があんまり気持ちよくイきそうなのを見て思わず唇を塞いだ。その瞬間に俺の手の中で肉棒が膨らみ、白い液体が先っぽから爆ぜた。
 江角の精液は2、3回思い切り空中に飛び、飛沫がボタボタと江角自身の太ももや腹や、俺の腕にまで掛かった。
「ハァ…ハァ……すごい……でちゃたよぉ」
 江角は八重歯を覗かせながら息切れをしていた。





<<4
23:40 | ミルフィーユ | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

ミルフィーユ 4

「なんか、お前は不思議な奴なんだよ。昔も思ってたけど、今日は改めてそう思ったんだ。正直、すげぇ可愛いと思うし、それは女に対して思う感情と同じで……でも男友達として気が合って楽しいし……でも、実はお前、時々色っぽいからちょっと変にドキドキしちゃったりもしてたんだ。ハハ」
 お酒も回って、思ったより余計に正直に思っている事を喋っている。
「ありがとう……。うれしいっ」
 江角は頬を染めてはにかみながらも、本当に嬉しそうに笑った。
「俺、その笑顔すげぇ好きだわ。可愛い」
 黙れよオレ、もうそれ以上恥ずかしい事しゃべるな。
「なぁ、男と付き合った事あるの?」
 俺の理性は完全に役立たずになっていた。
「……ん……あるよ」
 段々江角の顔が近づいてきた。だが、本当は俺自身が江角に近づいて行っていた。近づくにつれ、江角の可愛い瞳は色香を帯びたものになってきた。

ーーキス、していいか?

 頭の片隅で問いかけた。
 江角の視線は俺の唇を見ている。

ーーキス、したい

 無意識に江角の後頭部に手を回し、そしてクッと髪を下に引いた。すると江角の顎が上がってフッと熱い吐息が漏れた。
 そして俺は江角の唇を塞いだ。
 柔らかい江角の唇は俺の唇の動きに合わせて動いてくる。たまらず一度離し、江角の顔を見た。どんな顔になっているのか見たかった。
 唇を唾液で濡らした彼は蕩けた表情のまま俺を見ていた。そして赤い舌を差し出してきた。

ーー欲しい

 頭の中に直接そう言われた気がした。
 俺は江角を押し倒し、夢中で舌を絡ませた。
 俺の体温は一気に上昇し、このまま射精してしまいそうな程興奮していた。

(クソ、止まらない)

 俺は衝動のままに江角のTシャツを捲り上げた。
「あっ」
 そこには膨らみのない胸があったが、江角の恥じらいと興奮した声に俺の困惑は一ミリも生まれなかった。
 平らな胸元にピンと立ち上がった乳首が想像以上にいやらしかった。俺はそれを両方くにゃりと指で潰してやった。
「やぁ…んっ」
 俺を興奮させるエロい声だ。仰け反るような反応もたまらない。何より、純粋無垢な感じの江角の感じている顔が俺を異常に煽る。いや、俺じゃなくてもこんな顔の江角を見て興奮しない奴はいないんじゃないかと思う。
 俺は力一杯ない胸を掴み、無理やり膨らみを作るとその突起に吸い付いた。
「ひぁあんっ……イイィっんっ」
 俺は普段女にするように江角の両足の間に入り込み、硬く熱を持った下半身を江角の股間辺りに擦り付けた。そこから先はどうしたってやり方が分からない。だが、衝動は止まらずそんな行動に出ていた。

 俺の気持ちが伝わったのか、江角はそっと俺を押しのけ、ゆっくりと反対に俺を押し倒してきた。
 男と付き合った事があると言っていた。俺は江角に身を委ねる事にし、そのままジーンズを半分下された。
 俺の下半身は自分でも驚くほど赤く腫れ上がり、まさに暴発寸前状態だった。
「ハァ……爽太のここ、すごい……硬くて、熱いよ」
 そう言って江角は赤い舌を這わせた瞬間だった。
「アッ…アッ……っ」
 電気が走ったかと思った。
 ヒヤリとした舌先が肉棒にねっとりとまとわり付いたかと思うと、急にギュウと締め付けられ上下に刺激が加えられ、俺は全身に鳥肌が立った。
 悪いとは思いながらも我慢できずに江角の頭を持って腰を動かしてしまった。今までの彼女に同じ事をすれば十中八九、苦しいと怒られていた。だが江角は根元まで咥え込み、締め付け、俺の腰の動きに合わせて上下に動いてくれていた。
 経験した事のない気持ち良さに俺は声を漏らしていた。
「ふっ……アッ……出るッ…出るッ」
 江角は俺がイク瞬間に軽く爪を立てて俺の腰を掴んできた。
「クッ……アァ」
 ゾワリとした瞬間に、俺は思い切り江角の喉奥に射精していた。





<<3     5>>
00:00 | ミルフィーユ | comments (1) | edit | page top↑

ミルフィーユ 3

「へぇ、結構きれいにしてんなぁ」
 というか、大分綺麗にしている。俺の一人暮らしの部屋とは大違いだ。
 8畳ほどの広さの1DKはシンプルに整頓されており、なんの匂いか分からないがいい香りがした。
 俺たちは買い込んだ酒とつまみを机に広げてテレビをつけ、再び飲み出した。
「ねぇ、俺が爽太お持ち帰りしちゃって女子に悪いことしちゃったね」
 悪戯っ子みたいに笑う江角はアルコールで頬が桜色になっていた。

ーーあぁ……もう、可愛いな!

「なぁ、江角は彼女いんの?」
「んー、今はいないよ。三年前くらいはいたけど」
「へぇ」
 江角が彼女と付き合う想像をすると、どうしても女同士のお買い物のイメージが浮かんでちょっと笑えた。
「何笑ってんの」
「いや、別に」
 かと言って、オカマ、と言ったら偏見になるだろうが、女みたいだとも思えない絶妙な中性感がある。不思議な奴だ。
「そういえば俺ら、大学の時は別に仲良いって程仲良くはなかったよな」
 俺はふと思い出して言った。
 そうだ。適度に喋るが特に仲が良かったわけじゃない。
「そうだね……でも俺、今日はなんだか爽太ともう少し一緒に居たい、って思った」
 江角はそう言ってビールを一口飲むんで間を置き、そして俺をチラリと見た。

(ヤバい。ヤバいヤバい。これはおかしいだろ……。よく考えろ、相手は男だ)

 女だったらもう有無を言わさずキスしている雰囲気だ。江角の表情も態度も、誘っているとしか思えない。
 俺自身、期待してたとしか言いようがない行動だ。故意的に別の路線に乗った自分をイメージした。
 だが、抗えない引力が江角にはある気がした。それは6年前より遥かに強大な魅力となっていた。消えそうな理性を手繰り寄せる為に、俺は胸のポケットのタバコを掴んだ。
「悪い、換気扇の下貸して」
 そう言って立ち上がると、ふとラックの上に同じ銘柄のタバコを見つけた。
「それ、友達が忘れてったやつなんだ」
 俺の視線に気づいた江角が俺の疑問に答えた。
「ああ」

(落ち着け。一先ず一服して、なにか楽しい話をしよう。そうだ。それで寝ちまおう)

 俺は少し冷静になるとまた江角の隣に座った。
 他愛のない話をしているのに、楽しい。それに、横で笑う江角がやっぱり可愛くてずっと見ていて飽きない。
 江角も先程まで時折見せていた色気のある顔を見せなくなった。普通に話していも趣味も合う事がわかり、話がとても盛り上がった。江角は思っていたよりもサッパリとした性格で、ノリもよく普通に男っぽかった。

ーー俺は本当に今までコイツの事をよく知らなかったんだな。

 もっと早く中身を知っていれば大学時代から仲良くなれたかもしれないと、少し後悔した。

 そして丁度変な緊張も取れた時だった。俺は悪ノリをしたんだと思う。さっきまでだったら絶対にしないような質問をしてしまった。
「江角ってさ、男イケるの?」
 俺は、江角はてっきり笑いながら去なす事を想像していた。だが、江角は口に笑みを浮かべたまま、目は合わせずに答えた。
「そうだね。俺は、男も女も愛せるよ」

(え……え?!)

「え……あー…そうなの? え、バイ…ってこと?」
 何となくマズイ質問をしてしまったと焦り始めた。
「うん。そうみたい」
 江角はずっと視線を酒の缶にだけ合わせて答えていた。
「そうみたいって……」
「大学の時は違ったんだ。多分ね。気づかなかったというか。卒業して少ししてからかな。気づいた…っていうか、気づかされたというかね。へへ」
 俺の方を漸く向いて笑った顔がとても寂しそうに見えた。俺は表現できない衝動に駆られそうになった。
「びっくり? ……それともやっぱり、って感じ?」
 今度はまっすぐ俺を見た。
 嫌悪感はーー全くなかった。
「驚いた、けど。でも納得というか……そんな感じかな」
 俺は正直に答えた。





<<2     4>>
02:07 | ミルフィーユ | comments (0) | edit | page top↑

ミルフィーユ 2

 「彼女、今日爽太が来るっていうの楽しみにしてたよ」
「えっと……確か……江角」
「そう、よく覚えてたね」
  江角は柔らかい桜みたいな笑顔を咲かせた。

(ああ……いいな……)

 ずっと見ていたいと思う可愛い笑顔だった。
 昔からサークル内でも可愛いと言われていた彼は小柄で中性的で、物腰が柔らかい中性的なキャラも手伝って男女関係なく好かれていた。
 俺は昔思っていた彼に対する可愛いと思う気持ちが蘇って懐かしい気持ちになった。好みは変わらないらしい。
 江角は目が大きい西洋的な可愛さとは反対の、東洋系の可愛さの外見だった。奥二重の、猫のような瞳にキュッと上がる唇と間から覗く八重歯が愛くるしい。細い顎とスッと通った鼻が彼の線の細さを強調しているようにも見える。それに加えて少し短めの前髪が幼い感じを演出していて年下にしか思えない。大学生の頃はいつも高校生に見られていたほど元々童顔だ。
 それにしても……。

「何か、江角は変わらないな」
 素朴な感じというか、純粋な感じというか。
「そう? 爽太も相変わらず格好いいよ」
 本当、気持ちのいい声だ。
「爽太は今どこに勤めてるの? 彼女はいるの?」
 久し振りに名前で呼ばれて心臓をくすぐられる感じがする。サークル内では名前で呼び合うのが普通だ。
「あぁ、俺は今NEPの企画部にいたんだけど、この間営業部に移ったんだ。彼女はもう6年近くいないよ」
 そう言うと俺はタバコを取って江角に目配せして吸っていいか許可を取った。江角はキュッと口角を上げて頷いてくれた。
「マルボロの金」
 江角が呟いた。
「ん? お前も吸うの?」
 俺はタバコを差し出すと「んーん。違うけど、それ吸う人少ないよね」と言った。
「ああ…そうだな」
 俺は煙を江角と反対の方へ吐き出した。
「それにしてもそんなすごい会社に入ったのに、彼女が随分長い間いないなんて意外だね! モテるだろうに」
 江角はワントーン高めの声でそう言った。爽やかなミントのような声だ。
「いや、モテないよ。何か……好きな人を探す、ていうか、好きになれそうな人を探すのに疲れて、自然に任せて忙しくしてたらこんな時間経ってた」
「そうなの? もったいない」
 江角はそう言うと両手を後ろの方につき、今度はワントーン低めの声でそう言った。
 1、2秒位だったと思う。だが、俺の中の時間では5、6秒彼を見つめ返していたように感じていた。
 江角がやけに色っぽく見えたのだ。それまでの愛らしい笑みとは別の、しっとりとした……薄紫の藤のような笑顔。

ーー今日、もう少し一緒に居たい。

 俺は本能的にそう思った。
「なぁ、お前、今日何時に帰るの?」
「んー、明日休みだし別に何時でも大丈夫だよ。家もここから20分かからないし」
「え、近いね。どこ?」

(おいおい、会話の流れが完全に狙った女子のお持ち帰りだぞ)

 俺はとにかく目の保養をしたかった。何故ならそんな気持ちになる相手もここしばらくいなかったからだ。
 目の保養なら他の女子もいたが、俺には彼女らの見え見えのあざとさで興ざめだった。
 それに相手が男だから、などという基本的な感覚も酒が入っていたせいか、あまり気にならなかった。

 結局二次会に行くメンバーと別れて、俺たちは帰ると見せかけて江角の家で飲む事になった。
 妙な背徳感と高鳴る気持ちが交差して俺の心拍数を上げた。






<<1    3>>
00:16 | ミルフィーユ | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

ミルフィーユ 1

 大学を卒業して何年経った?
 22で卒業して会社に入って六年……。
「6年振りか……」
 俺がぼそりと呟くと、「もうそんなかぁ」と目の前の草臥れた感じの男が返事をした。
 悪いがお世辞にもとても同い年とは思えない。
 俺はこの6年何をしてきたのか。
 社会人になって直ぐ、あまり会えなくなったからと言って別れた彼女を最後に、まともに人と付き合う事もなくここまで過ごしてきた。遊び程度に関係を持った女性も居たが、それはあくまでも遊びだ。
「爽太、結婚は?」
 聞いてきたのは大学1年の時に結構仲の良かった奴だ。確か名前は……。
「いや、全く予定すらない状態だよ。……吉澤は?」
「俺はもう子供が1人いるよ」
 良かった。名前は合っていた。
「もう28くらいになると段々家庭持ちが増えてくるもんなんだな」
「な」

 誰が発足したかは不明だが、久しぶりに大学のサークル活動の仲間で集まろうという呼び掛けのもと集まったのは大体20人程度だった。
 ありがちなテニスサークルだったが、うちのサークルは比較的真剣にテニスをするサークルで大会もしょっ中出ていた真面目なサークルだった。その為か、キツイ練習のあったうちのサークルは女子には不評で女性の参加人数は少なかった。
 今日も男性18人に対して女性はたった2人だ。貴重な女性部員はいつも大切に扱われ、飲み会では主役とされていた。
 そんな女性陣も、6年後の飲み会では専ら疲れた男性陣たちの話の聞き役になっていた。
 俺はテンションを上げる為にハイスピードで飲み続けていたビールが濁流のように一気に膀胱に押し寄せてきた。
「ちょっとトイレ」
「お、行ってら」
 立ち上がって横目でメンバーを見ながら歩くと、参加していた女子メンバーの1人がニコリと笑いかけてきた。ウインクでもしそうな意味深い表情だ。そう言えばその子とは大学の時少し関係を持った事があったのだった。
 俺は口の端だけ少し上げて何事もなかったようにトイレへと向かった。一昨年くらいまでの自分だったら、きっともう少し色気のある笑みを浮かべて気のある素振りを見せていただろう。だが、今は全く彼女に対してその気も起こらない。というより、恋愛への気力がない。
 俺は軽いため息をつきながら席へと戻った。時間は9時半だ。もう少ししたらもう帰ろうと自分の中でスケジューリングをした時だった。
 俺の席に違う奴が座っていた。
「ウェーイ」
 お調子者のそいつはかなりのハイテンションで色々席を回っては盛り上げている様だった。確かにそういう役回りの人は必要だと思う。個人的な好き嫌いは別として。
 俺は他に座れる場所はないか見回すと、例の彼女が何か言いたげな素振りで顔を上げたので、それに気づかないフリをしてサッとスペースのある別の場所へと座った。変にしつこくされても困る。
「ハァ」
 座ると無意識にため息が出た。

「柳沢の隣に座らなくていいの?」

 やけに優しい声の主が隣から聞いてきた。久しぶりに耳に心地いい音だと思った。
 横を見るとキレイな箸の持ち方で刺身を食べる、線の柔らかい男がいた。






2>>
続きを読む
00:00 | 未分類 | comments (0) | edit | page top↑

近況報告☆

皆さまご無沙汰しておりますm(_ _)m と、最近いつもこのくだりの始まりですね^^;
すみません、いつも空き家で…。

さて、私事で申し訳ないのですが3月に結婚いたしました。
去年末に転職し、来週あたり引っ越し、という事でバタバタとしております。

そんな状況の中、なにが問題かというとですね……
この、溜めに溜め込んだBL本。
どうしようか…という大問題。

というのも旦那は知らないのです。私のこの趣味…というか、本性。 生体。
絶対理解されないと分かっているので隠すつもりなのですが……。
それにしても量が半端ない!(笑)
捨てるか?! 持って行くか?! とりあえず数を絞ろう!
と、悶え苦しんでおります。

どうしたって第一軍の本は捨てられない。絶対にだ。。!
これは私の一部だ!
多分、引っ越し先のどこかに二重扉みたいの作って保管します(笑)


という事で……今は季節の変わり目でもあります。
どうか皆さまお身体ご自愛くださいませ(*´∀`*)

(GW中に短編出来たら、、上げます)

それではまた☆




00:15 | 未分類 | comments (8) | trackbacks (0) | edit | page top↑

ご無沙汰しております

皆さま

大変ご無沙汰しております。。

久方ぶりにコメント頂いて、自分のブログ開けて最初に目に飛び込んできたものが、いきり立った男性器の広告。。

これが意気揚々と長期間自分のブログに現れていたのかと何とも言えない気持ちになりました(笑)

すみません、書く書く詐欺、すみません。。

今日、取り敢えず1話書く事を決めました。。。PC開けるとデスクトップにやりかけのプロットでいっぱいなんです。

納得いくものが出来ず、この残骸。 いや、言い訳はしません。

という事で近況報告としては、今お気に入りのアニメキャラは、東京喰種の金木くんですッ!

近況報告じゃないですね。。。

でもでも、あのちょっと間違っちゃった方向に行くのとか、一生懸命やってるのに歯車が合わなくなっていく感じとか、たまりません。。。手篭めにしたい。

ああ、、久し振りの記事で何を書いているやらです。

皆さまはお元気でらっしゃるでしょうか。私は元気に日々生きております。

本日の使命は、我がブログトップで闊歩する誰のモノとも分からぬ男性器を追い出す為です! そんな誘惑していると、ブログ内に生息する攻めッ子たちに襲われるヨ。。。(笑)


それではまたm(_ _)m
22:01 | 未分類 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑

木戸の憂鬱


「時枝」

「……」

「おい」

「はい」

「何を怒って……」

「別に怒ってなどおりません」

 時枝はハンドルを右に回しながらいつもよりも少しアクセルを踏み込んだ。
「嘘をつけ、お前この間から」
「木戸様。もうすぐ取引先との会食の場所に着きます」
「分かっている」
「……でしたらその間に資料に目を通しておいて下さいませんか」
「……」
 時枝は黒く伸びた前髪をサラリと形の良い耳にかけた。表情は変わらない。真っ直ぐ氷のように冷たく美しい瞳はチラリとも木戸を見ようとしない。
 時枝の様子がここ数日おかしい。

(俺は何かやったのか?)

 木戸は眉を顰めながら時枝の頬に触れようと助手席から指を伸ばした。
「木戸様」
 時枝はそう言ってキュッと強めにブレーキを踏むと木戸の身体が弾んだ。せっかく時枝を触ろうとした指はバランスを取る為に元の位置に戻っていた。
「お前ッ」
「着きました」
「……!」
 木戸は段々と腹が立ってきていた。今までと違い、幾ら腹が立とうと下手に怒りをぶつけて時枝を苦しめるような事は避けたいと思うようになった木戸は、珍しく自制心を持って接してきた。だがこの数日触らせてもくれない時枝に対して、木戸の不満は限界に達してきた。

「香、こっちに来い」
 木戸は家に着くと、サッサと木戸を避ける様にシャワールームへ行こうとする時枝の腕を掴んだ。
「離してください」
「あ? お前いい加減にしろよ?」
 木戸はグッと力を入れて時枝の手首を掴み引き寄せると、その細い手首が締め付けられて青白く変わった。
「い、いたい……」
 時枝は片目を瞑り弱々しく呟くと木戸から顔を少し逸らした。痛がる時枝はいつも独特の艶を出す。木戸は理性とは別に本能で喉を鳴らした。
 時枝から匂い立つ妖艶な甘い香りが頭の芯にまで沁み渡る。
「なぁ……何をそんなに怒っているんだ」
「……別に……」
「香……分かった。アレだろう。この間の夜会で少しあの若いボーイにちょっかい出していた事を怒っているんだろう」
「違います」
「そんな怒る事でもないだろう。ちょっとからかって耳元をくすぐってやっただけじゃないか」
「いいえ。だってそれは初耳ですから」
「……。そうか」
「ああ……。じゃあアレか……。アレは別に深い意味はないぞ。あいつらはちゃんと元気にやっているのかと近くを通ったから様子を見ただけだ」
 時枝の眼がスッと座った。
「弘夢くんを……また見に行ったのですか」
「……。違うのか?」
「初耳です」
 時枝は木戸の腕を振り解くと玄関へ向かい出した。
「待てッ香!」
 木戸が追いかけようとした時だった。時枝は急に止まると、クルリと向きを変えて再びリビングへ戻り、そのままキッチンへ入った。
 その不可解な行動に、木戸も少したじろぎながら時枝の様子を伺った。
「な、何をしているんだ」
「別に」
 時枝は棚奥からウイスキーを取り出すと、それをコップの中にジャバジャバ注いで一気に飲み出した。
「馬鹿かお前はッ!!」
 木戸は急いでウイスキーを取り上げたが、瓶の半分以上が既に飲まれた後だった。
「お前……酒弱いのに何してんだ」
「どうせ……」
「あ?」
「どうせ貴方の中ではいつまで経っても弘夢くんが居座っているんです……」
 時枝はキュッと唇を結んで下を向いた。
「ハァ……。例えばだ。買っていた猫を野に放った後、偶に様子を見たくなる事あるだろう? それと一緒だ」
「貴方、猫飼った事あるんですか」
「……ない」
「もういいです」
 クルっといじける様に背を向ける時枝が妙に子供っぽくて途端に愛おしく感じた。
 一時はもう二度とこんな時枝を見られないとさえ思っていた。それを考えると、自分に嫉妬をしてくれる時枝が可愛くて仕方がない。
 木戸は時枝の身体を後ろから抱き締めると、柔らかな髪にキスをした。
「分かっているだろう……俺の事は」
 木戸の腕に包まれると、時枝の小さな嫉妬心と不安はシャボン玉が割れる様に消えていった。
「分かっているんです……私はとても小さな器で……弘夢くんの事となると……やはり胸が苦しくなる」
「ああ」
 木戸は指先でそっと時枝の長い睫毛に触れ、鼻筋を通って喉元を触った。そして後ろからそっと時枝の頬に唇を寄せた。
「やはり……見ていましたから……」
「もう……黙れ……香」
 木戸はグイッと時枝の顔を後ろに向けると時枝の唇を塞いだ。木戸の熱い舌は時枝を舌先から溶かす様に絡みついてくる。
「んっ……あっ」
 木戸はその大きな掌で時枝の尻をギュッと掴み、いやらしく揉み上げた。
「あんっ」
「香」
 甘く低い木戸の声が耳元で響くと、時枝の胸先がキュッと硬く尖った。
「何に怒っていたか……そろそろ教えてくれないか」
 木戸がそう言うと、時枝の顔が段々赤く染まり俯いてしまった。

「それは……貴方が……鳩にやってしまったから……」
「……。あ?」
 木戸は時枝の唐突な言葉に思わず止まった。
 何の事かサッパリ分からない様子の木戸に、時枝は益々恥ずかしくなったのか端正な顔を桃色に染めて怒り出した。
「は、鳩にやってしまったではないですかっ……私が一生懸命作ってやっと成功したフレンチトーストを……!」
「……。はあ?」
 木戸は確かにベランダに来た鳩に時枝の作った失敗作をやった覚えはあった。だがそれが成功したものだとは思ってもなかった。
「ちょっと待て。そんな事で怒っていたのか?」
「そんな事?! 貴方は私がどれだけあれを練習したのか分かっているのですか?!」
 確かに時枝はその時ずっと真剣にキッチンで何かパンのようなものをフライパンで焼いていた。
「ああ……ラスクを作っていたな」
「フレンチトーストです」
「……そうか」
「もういいです。やっと上手く出来て貴方に食べて頂こうと思っていたのに……まさか鳩にやるなんて……」
「いや、違うぞ。失敗したのを捨てるなら鳩にでもやろうかと……いや、悪かった。まさか成功していたやつだとは思わなかったんだ……その、あの時キッチンにはラスクの山があったから……」
「ハァ……。でも別にもういいです。あれも果たして本当に成功していたか分かりませんし」
「え? 何故分からない? お前、食べてみたんだろう?」
「いいえ?」
「……何故食べない?」
「私は試食はしたくないのです」
 当たり前の事を言っているかのように、時枝は無表情でカチャリと眼鏡を中指で押し上げた。
「お前、いつも俺に博打で食わせていたのか」
「人聞き悪いですね。私は初めに貴方に食べて美味しいと言って頂きたいのです」
「お前、その”初め"の意味がきっと違うぞ……大体どうしていつも目分量なんだ」
 仕事はいつも完璧主義で緻密な時枝だが、料理となると分量をきちんと計ろうとしない。
「分かりません……計る気になれないのです。しかし計らずとも分量を完璧にし、焼く時間も体内時計で把握してこそ完璧に思えるのです。そこに快感があります」

(コイツはとんだ博打の素質があった……)

 木戸は可笑しそうに笑いながら時枝に、今度改めてラスクパーティでもしようと言ってまた怒らせた。


END



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久し振りの二人のある日でした(*´∇`*)
相変わらずラブラブのようですv

こちらは「すれ違った後で」の続編「それから」、スピンオフの「貴方の狂気が、欲しい」へと繋がっており、そのスピンオフとなっております。

01:40 | SS | comments (14) | trackbacks (0) | edit | page top↑

悪魔と野犬ノ仔 52最終話

「まあ大きなお庭ねぇ! ねぇお父さん、拓水……あらあらっ。ワンちゃん買ってるじゃない! 二匹も! ……え? まだあっちにもいるの?! えーっ向こうからもっと来るわぁ!」
 自宅兼病院の新築を立てて暫くしてから、要たちは両親と拓水を自宅へと呼んだ。
 田舎だけあって、値段が安いのに土地が広く庭もとても大きなものを作る事が出来た。
 水無月の提案で、預かっている動物たちがずっと狭く薄暗いケージに入っているのは可哀想だ、という事で必要な時以外は庭に放っていた。十数匹の犬たちは元気になると要が瞬時に躾をし、突然来訪者が来ても警戒する事があまりなかった。この躾のセンスが近所でも噂になり、病院としての仕事の他にも躾をする仕事を増やす事が出来た。
 また、特に初めて来る犬は飼い主と離れる事に非情に不安を覚えるが、そこは水無月がとても上手く犬たちとコミュニケーションを取って落ち着かせていた。そんな類稀な診療所の評価は人々の口によって広まり、かなり遠くからでも予約を取ってお客さんが尋ねる事も少なくなくなってきた。
 突然十数匹の犬たちが嬉しそうに母親に向かって走って来ると、母親は驚いて拓水の後ろへ逃げた。
「あ! 皆だめだよ! それはぼくたちのお母さんだからね! こっちにおいで!」
 庭から犬たちを追いかけて出て来た水無月が懸命に犬たちに注意をするが、多くの人間たちが来た興奮で再び水無月に遊ぼうと飛びついていった。
「わあっ」
 最初は注意していた水無月も段々と犬たちの興奮に触発され、自分もウズウズしてきたのか四つん這いになってワンワンっと吠えだした。
「あ、いらっしゃい。悪いさっき終わったばかりだったんだ」
 そんな騒ぎの中、一人涼しい顔で玄関から白衣姿で出て来た要が拓水たちに挨拶をした。
「あぁ……要。何か、凄い事になってんだが」
 拓水は苦笑いをしながら十数匹と一人の興奮した犬たちを指さした。
「ああ。悪いな。いつもなんだ」
 要は白衣を脱ぎながら犬たちの方へ近づくと、その気配に気付いた犬たちが一瞬で顔を引き締め、サッと要の足下に集まった。まだ興奮冷め止まぬ小さな犬たちも大人の犬の緊張感を察して同じように要の近くに集まる。
 要は同じように集まった犬の中でも必ず最初に水無月に手を伸ばし、撫でてやる。この順番で、他の犬が要にとって一番なのが水無月だと認識し、要の大切にしている相手を傷付ける事は許されないのだと理解する。
「あっはっは。まるで犬の親分だな、要」
 父親が愉快そうにその様子を笑うと、つられるようにして拓水と母親も吹き出した。
「まぁ、そんなところだ。中に入って」
 中に入ると広々とした玄関は吹き抜けになっており、高い天井にはレトロチックなファンが回って優しく空気を回していた。内装はオフホワイトの木造で出来ていて、まるで北欧の田舎の家のような落ち着きと気持ち良さがあった。
「まぁ素敵ねぇ!」
 母親は目をキラキラとさせながら勝手に部屋を探索しに回り始めた。
「俺たちそんなにちゃんと料理出来ないから庭でバーベキューとかでいいだろ? 肉とか適当に買ってきたから」
 要が静かにそう言うと、父親が気合いの入った顔で「じゃあお父さんに任せなさい」と言いだした。
 ガタガタと用意をし出すと、その雰囲気にまた興奮した犬たちが周りでウロウロしだしたので、水無月は手作りだが頑丈な柵を庭に設置して枠を作った。
 父親は几帳面に野菜や料理器具を洗うと、食べやすいように綺麗に切っていった。その様子を見ていた拓水は感心してその様子をジッと見ていた。要その様子を横目に見ながら椅子に座ってビールの缶を開けて飲み出した。
「父さんが料理するところなんて初めて見たよ、凄いな」
 拓水はそう言いながら要の持ってきた酒を飲んだ。
「単身赴任が結構あったし、父さんも結婚するまで独り暮らしが長かったからな」
 要は父親と拓水の他愛のない話声を聞きながら、心地よい風を感じていた。
 こんなにも水無月以外の人と自然に居られる事が出来る事に嬉しく思えると同時に、やはり水無月が居たからこそ今の自分が出来たのだと感じて、切れ長の瞳を優しく細めた。
 


 家族の団欒を楽しんだその後、拓水と両親が泊まり、そして次の日には満足気に皆帰って行った。
「楽しかったねっ」
 水無月は小さな室内犬を片手に要に近づいて微笑んだ。
「そうだな」
 要が小さく微笑み返すと、水無月は持っていた犬を床に置いて要の胸に甘える様にすり寄った。こういう時は水無月が発情している時だ。
 要は水無月の髪を軽く掴んで顔を上げた。
「じゃあ今からお前の躾を始めようか」
 昔とは少し違うが、だが純粋に愛と艶を含んだ非情な悪魔のような美しい顔で水無月を見下ろした。
 そして水無月は餌をねだる様な瞳で要を見つめながらゆっくりと足下にお座りをした。

END


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<あとがき>
最後までお読み下さった皆さま本当にありがとうございました。
久々過ぎる連載でしかも長編とまではいきませんが中編ほどでしょうか。途中息継ぎをしながらの連載でしたがそれでも頑張れたのは読んで下さる、応援して下さる皆さまがいたからに他なりません。
私の書く作品としてはエロが少なかったかな?と思いましたが休暇期間が長かったからか、頭のネジを幾つか落としてしまったからなのか、色々どぎつい場面が多い作品になりました(笑)
しかしながらこれでエンジンもかかりましたので、この後は少しお休みを頂いて、明るいエロエロラブを書きたいと思います☆
ありがとうございました!!ヾ(*´∀`*)ノ゛

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00:00 | 悪魔と野犬ノ仔 | comments (9) | trackbacks (1) | edit | page top↑
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