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悪魔と野犬ノ仔 52最終話

「まあ大きなお庭ねぇ! ねぇお父さん、拓水……あらあらっ。ワンちゃん買ってるじゃない! 二匹も! ……え? まだあっちにもいるの?! えーっ向こうからもっと来るわぁ!」
 自宅兼病院の新築を立てて暫くしてから、要たちは両親と拓水を自宅へと呼んだ。
 田舎だけあって、値段が安いのに土地が広く庭もとても大きなものを作る事が出来た。
 水無月の提案で、預かっている動物たちがずっと狭く薄暗いケージに入っているのは可哀想だ、という事で必要な時以外は庭に放っていた。十数匹の犬たちは元気になると要が瞬時に躾をし、突然来訪者が来ても警戒する事があまりなかった。この躾のセンスが近所でも噂になり、病院としての仕事の他にも躾をする仕事を増やす事が出来た。
 また、特に初めて来る犬は飼い主と離れる事に非情に不安を覚えるが、そこは水無月がとても上手く犬たちとコミュニケーションを取って落ち着かせていた。そんな類稀な診療所の評価は人々の口によって広まり、かなり遠くからでも予約を取ってお客さんが尋ねる事も少なくなくなってきた。
 突然十数匹の犬たちが嬉しそうに母親に向かって走って来ると、母親は驚いて拓水の後ろへ逃げた。
「あ! 皆だめだよ! それはぼくたちのお母さんだからね! こっちにおいで!」
 庭から犬たちを追いかけて出て来た水無月が懸命に犬たちに注意をするが、多くの人間たちが来た興奮で再び水無月に遊ぼうと飛びついていった。
「わあっ」
 最初は注意していた水無月も段々と犬たちの興奮に触発され、自分もウズウズしてきたのか四つん這いになってワンワンっと吠えだした。
「あ、いらっしゃい。悪いさっき終わったばかりだったんだ」
 そんな騒ぎの中、一人涼しい顔で玄関から白衣姿で出て来た要が拓水たちに挨拶をした。
「あぁ……要。何か、凄い事になってんだが」
 拓水は苦笑いをしながら十数匹と一人の興奮した犬たちを指さした。
「ああ。悪いな。いつもなんだ」
 要は白衣を脱ぎながら犬たちの方へ近づくと、その気配に気付いた犬たちが一瞬で顔を引き締め、サッと要の足下に集まった。まだ興奮冷め止まぬ小さな犬たちも大人の犬の緊張感を察して同じように要の近くに集まる。
 要は同じように集まった犬の中でも必ず最初に水無月に手を伸ばし、撫でてやる。この順番で、他の犬が要にとって一番なのが水無月だと認識し、要の大切にしている相手を傷付ける事は許されないのだと理解する。
「あっはっは。まるで犬の親分だな、要」
 父親が愉快そうにその様子を笑うと、つられるようにして拓水と母親も吹き出した。
「まぁ、そんなところだ。中に入って」
 中に入ると広々とした玄関は吹き抜けになっており、高い天井にはレトロチックなファンが回って優しく空気を回していた。内装はオフホワイトの木造で出来ていて、まるで北欧の田舎の家のような落ち着きと気持ち良さがあった。
「まぁ素敵ねぇ!」
 母親は目をキラキラとさせながら勝手に部屋を探索しに回り始めた。
「俺たちそんなにちゃんと料理出来ないから庭でバーベキューとかでいいだろ? 肉とか適当に買ってきたから」
 要が静かにそう言うと、父親が気合いの入った顔で「じゃあお父さんに任せなさい」と言いだした。
 ガタガタと用意をし出すと、その雰囲気にまた興奮した犬たちが周りでウロウロしだしたので、水無月は手作りだが頑丈な柵を庭に設置して枠を作った。
 父親は几帳面に野菜や料理器具を洗うと、食べやすいように綺麗に切っていった。その様子を見ていた拓水は感心してその様子をジッと見ていた。要その様子を横目に見ながら椅子に座ってビールの缶を開けて飲み出した。
「父さんが料理するところなんて初めて見たよ、凄いな」
 拓水はそう言いながら要の持ってきた酒を飲んだ。
「単身赴任が結構あったし、父さんも結婚するまで独り暮らしが長かったからな」
 要は父親と拓水の他愛のない話声を聞きながら、心地よい風を感じていた。
 こんなにも水無月以外の人と自然に居られる事が出来る事に嬉しく思えると同時に、やはり水無月が居たからこそ今の自分が出来たのだと感じて、切れ長の瞳を優しく細めた。
 


 家族の団欒を楽しんだその後、拓水と両親が泊まり、そして次の日には満足気に皆帰って行った。
「楽しかったねっ」
 水無月は小さな室内犬を片手に要に近づいて微笑んだ。
「そうだな」
 要が小さく微笑み返すと、水無月は持っていた犬を床に置いて要の胸に甘える様にすり寄った。こういう時は水無月が発情している時だ。
 要は水無月の髪を軽く掴んで顔を上げた。
「じゃあ今からお前の躾を始めようか」
 昔とは少し違うが、だが純粋に愛と艶を含んだ非情な悪魔のような美しい顔で水無月を見下ろした。
 そして水無月は餌をねだる様な瞳で要を見つめながらゆっくりと足下にお座りをした。

END


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<あとがき>
最後までお読み下さった皆さま本当にありがとうございました。
久々過ぎる連載でしかも長編とまではいきませんが中編ほどでしょうか。途中息継ぎをしながらの連載でしたがそれでも頑張れたのは読んで下さる、応援して下さる皆さまがいたからに他なりません。
私の書く作品としてはエロが少なかったかな?と思いましたが休暇期間が長かったからか、頭のネジを幾つか落としてしまったからなのか、色々どぎつい場面が多い作品になりました(笑)
しかしながらこれでエンジンもかかりましたので、この後は少しお休みを頂いて、明るいエロエロラブを書きたいと思います☆
ありがとうございました!!ヾ(*´∀`*)ノ゛

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悪魔と野犬ノ仔 51話

「シーツびちゃびちゃだな」
「ぼく……おもらししたの?」
「そうだよ」
「ちがうもん……おしっこじゃなかったもん」
 要は無事だったブランケットを床に敷くと力尽きている水無月をゴロリと寝かせて自分も気怠そうに横になった。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「まだここ……きもちいい」
 水無月はうっとりした目で要を見ながら自分の内腿の付け根に手を置き、そこからそっと玉と性器をなぞった。
「んな事してっとまた犯るぞ」
 要はそう言って水無月の上唇をペロリと舐めた。
「ん……だめだよぅ」
 水無月は眠たそうに片目を瞑るとウトウトとし始めた。
 要はそっと水無月の瞳に口付けをして「ありがとう」と呟いた。
 水無月は最後の力を振り絞って少しだけ笑みを浮かべると要の腕の中に入り込んで小さな寝息を立て始めた。

 要は水無月と触れ合う事で身体も心も救われていった。一月も経つと大分落ち着き大学も通うのに苦ではなくなっていた。
 だが要の目的は少し変わってきていたようだった。
「ミナ」
「なに?」
「俺がもし動物の医者になったら、お前手伝ってくれるか?」
「えっ……兄ちゃん獣医さんになるの?」
 水無月は驚いて茶色の瞳を一層大きくさせた。
「何だよ……駄目か?」
「全っっ然だめじゃない! 嬉しい! 僕お兄ちゃんと動物をたくさん助けたいッ」
「そうか……まぁ幸い俺理系だしな」
「なって! 絶対!」
「頑張れ、とかじゃないのが凄いプレッシャーだな」
「絶対ならないと僕ゆるさないからね! お兄ちゃんにもシオを吹かせるから!」
 要は水無月の提案に少し顔を引き攣らせた。
「おお……それは絶対イヤだな」
「何で? すっっごい気持ちいよ?」
「だろうな」
「じゃあ」
「やらねぇよ」
 水無月は柔らかい頬をぷくっと膨らませていじける様に要の足下に犬座りをした。
 要は水無月の頭を撫でると丁度持っていた飴玉を紙から出して口の中に入れてやった。
 要は昔からたまにこうしてお菓子のご褒美を水無月にやる。水無月はこの不意打ちがとても好きで喜んでは要の足に絡まるのがお決まりになっていた。

 要は進路を変えてから猛勉強をし出した。とは言え、受験生のような必死さが見られないのは要特有の飄々とした態度が原因のように思えた。疲れていても余り苦痛の表情も浮かべず、ただ只管机に向かいペンを動かしていた。
 そして難関と言われている獣医に晴れてなったのはそれから数年後だった。
 やはり自然の多い場所が合っているという事で、実家から少し近くの場所に病院を構える事にした。




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悪魔と野犬ノ仔 50話

 水無月は濡れた赤黒い要の肉棒を裏側から滑らせるように舐めた
「すごいヌルヌル」
 ずっと欲しかったと言わんばかりにうっとりとした表情で熱い要の肉棒に吸いつく水無月の刺激に要は思わず腰を突き出し首を逸らせた。
 水無月はチュクチュクと音を立てながら先端から溢れる液体を吸った。
「ミ……ナ……っ」
 要の眼光が一瞬光ったように見えた時、水無月の身体は一瞬でベッドに押し倒されていた。
 一時はもう一生ないと思っていた要が上になるこの体勢が今再び体験出来て、水無月は嬉しさに両手を伸ばした。
 伸ばされた水無月の両手に誘われる様に、要はゆっくり水無月の上に重なり、そして力強く抱き締めた。
 互いの体温を直接感じると、要は驚く程嬉しさが込み上げてきた。触れれば穢すと思っていたが、実際はこんなにも安心し不安分子を浄化する事が出来る事が分かった。
 水無月は要の身体の中に溶け込んでしまいたい気持ちでギュウギュウと懸命に抱き付いた。だがそんな事をしているとふと気を抜いていた後ろの蕾部分に火傷してしまいそうな熱さを感じてビクリとした。
「あっ…待っ……! ……んんっ」
 要は怯んだ水無月の言葉を唇を押しつけて塞いだ。
「んんーっ……待っ……や……っ」
 逃げようとすればするほど絡みついてくる要の舌が気持ち良くて、水無月はどんどん力が抜けてきた。抵抗しようとして浮かせた腰はそのまま押さえつけられ、水無月の蕾に押し付けられた熱はそのまま強引にゆっくりと侵入してきた。
「あっ……あっ……なかにっ」
 水無月は身体中が粟立ち、侵入してくる肉棒に手を伸ばした。二人の液体で濡れた要の肉棒はまだ半分程しか入っていなかった。
「すご……い……入ってきてる……んっ」
 水無月は要を見ながら残りの半分の肉棒をヌルヌルと手で扱き、卑猥に揺れる要の大きな玉をやわやわと揉んだ。
 そんな悪戯をしていると、急にパンッと大きな音を立てて要が一気に最後まで肉棒を突き挿した。
「あああッ!」
「お……前が悪いんだぞ……っ……俺を煽るから」
「はぁあんっ」
 水無月は下半身に痺れるような少しの痛みと内部に広がる甘い刺激に上半身を弓なりに逸らした。
 要は突き出された水無月の乳首に吸いつき、そのまま腰を振り出した。
 水無月の身体は大きくシーツを上で上下に揺さぶられ、水無月の肉棒から溢れる液体は自身の腹を広く濡らした。
「はぁあっ……あんっ……やっぱ…りっ……お兄ちゃんの……すごいぃ」
「オモチャと比べてんじゃねぇよ」
 要は「お仕置きだ」と言って肉棒を突き入れたまま水無月の身体をグルリと回転させた。
 水無月は内部を肉棒でグルリと回転しながらなぞられ、ついその刺激で少し射精をしてしまった。
「きゃあんっ」
 要はそれを無視しそのまま水無月を四つん這いにすると、先程よりももっと大きな音を立てて腰を打ち付け始めた。
「キャンっ……キャンっ……キャンっ」
 水無月は腰を打ちつけられる度に高く甘い犬の鳴き声とも違う声を上げて汗を飛ばした。
 いつの間に、何度射精したのかさえ分からない程断続的に快楽に身体を揺らせていると、水無月の腰がガクガクと震えだし、要はそれを見てニヤリと笑いながら唇を舌で濡らした。
「ミナ、中が痙攣してる」
 急に耳元でそう囁かれて水無月はまた身体をザワつかせた。
「また乳首が硬くなった」
 要が爪の先で水無月の乳首をキュッと摘まみ上げた。
「やあんっ、イクうんッ」
「もう出ないだろ」
「イクうぅん」
 水無月は頭を左右に振り、口端から唾液を零れさせながら腰を揺らした。
「じゃあもっとイけよ」
 要は後ろから水無月の肉棒をグチュグチュと容赦なく扱き始めた。
「やっ……そこ、だめっ……だめえええ」
 既に射精し終わったそこは想像以上に刺激が強くどうにかなってしまいそうだった。それでも打ちつけられ続ける要の腰からは逃げられず、水無月はより大きな声を上げる事でしか刺激から逃げる事が出来なかった。
 そのうちに尿意とも違う何かが爆発的に体内から湧きあがってきたのを感じた。
「ひぃぃぃっ」
 要は意地の悪い笑みを浮かべながら更に力強く水無月の亀頭を扱いた。水無月の肉棒は真っ赤に染まり先端の口がパクパクと息継ぎでもするように開いたり閉じたりしていた。
 水無月は「ハッ……!」と息を一瞬吸うと爪先をピンと伸ばして尻をクンと突き出した。
 次の瞬間扱いていた要の掌にサラサラとした水のようなものが水無月の肉棒から溢れ卑猥な水音を更に大きく響かせた。そして女性でいうところの潮が思い切り水無月の肉棒から吹き出た。
「ひィィああぁやああんッ」
 要は我慢が効かず「クソ……!」と呟くと水無月の肉棒から手を離して尻たぶを強く掴んだ。そのままベッドごと揺らす程腰を動かすとそのまま水無月の中で射精した。





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ちょっと私事で一週間程お休み頂いてしまってすみませんでした。
完全復活したので後少しですがまた続けたいと思います!
ありがとうございました(*´∇`*)

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悪魔と野犬ノ仔 49話

「それにしても……なんだそのいやらしい動きは」
 水無月は潤ませた目を要に向けながら誘うように尻をゆっくり上下にうねらせていた。
 要はほんのり赤く色づいた蕾部分に顔を近づけると、フッと熱い息を吹きかけた。
「んっ」
 水無月はキュッと目を瞑ると長い睫毛も一緒にキュッと上に上がった。
 要はそこに舌を伸ばしゆっくりと回す様に這わせると、閉じていた蕾は開いて大きく花びらが開いた。
「ああんっ……ぃぃぃ」
 水無月は泣きそうな声で小さく肩を震わせた。
 その様子を見た要は、何だかんだと言っていてもずっと我慢して待っていた事が伺えて堪らなく水無月が愛おしくなった。
 要は舌先を硬くすると、勢いよく蕾の中に侵入させた。
「はぁあんっ」
 中に入れた舌は味わうように内襞を隈なく味わった。懐かしい水無月の味は昔よりもずっといやらしい大人の味がして要の脳を痺れさせた。
 要は舌で蕾を攻めながら左手で水無月の可愛らしい玉を、右手で濡れきった肉棒の先をカリカリと軽く引っ掻いた。
「はっ……はんっ……はあっんっ」
 水無月はビクッ、ビクッと腰を小刻みに反応させ、快感に崩れないように絨毯を掴んでいた。
「だ……だめ、兄ちゃん……出ちゃう……っ」
 水無月はやっと要から逃げる様にして一旦離れると、そのまま向きを変えて要の足の間に入った。
「服、ぬいで。兄ちゃんの身体が見たい」
 要は黙ってシャツを乱暴に脱いだ。一旦引っ掛かった髪は乱れて顔に掛った。真っ直ぐ首から伸びた鎖骨が浮かび上がり、引き締まった腕の筋肉が力を入れていなくてもあるのがよく見えた。
 水無月は要の気怠い美しさと雄を感じさせる身体つきを見て再びだらしなく肉棒の先から液体を溢れさせた。
「下も……下も脱いで……見せて」
 要はガチャッとベルトを外し、立ち上がるとゆっくりとジーンズを脱いで見せた。
 黒いボクサーパンツは硬化して真上に立ち上がった要の肉棒の形をそのまま浮かび上がらせていて、それが裸で見るよりも異様にいやらしく水無月を興奮させた。
「すごい……すごいよ兄ちゃん」
 マタタビに陶酔した猫のように、水無月はゴロゴロと要の身体にすり寄り引き締まった腰回りに抱き付いた。
 柔らかな水無月の掌はゆっくりと要の腹筋を撫で、そのまま乳首に伸びた。要がそうするように、水無月も要の尖りに吸いつき舌先で転がした。要の身体は一瞬ピクっと反応し、水無月は目を上に上げた。
 要は少しだけ困ったような顔をしながらも息を短く上げていた。
 水無月は要のその顔に興奮して要のボクサーパンツを引きずり下ろした。目の前に猛々しい肉棒が現れ、既に水無月と同じように濡れて艶めいていた。
 水無月は膝をつき、要のそれに鼻を近づけてクンと匂いを嗅いだ。するとまるでそこから強い媚薬成分が発せられていたかのように、水無月の脳内がクラっと揺れた。途端にズクン、と強い疼きが身体の内側から波のように押し寄せ水無月は蕩ける様な目つきに変わった。
 水無月がそこに舌を伸ばそうとすると、要はグッと逃げようとした。
「兄ちゃん……大丈夫。何も考えないで……僕が兄ちゃんの怖いの、全部吸い取ってあげるから」
 要はそれ以上は抵抗せず、少し緊張していたのか身体を強張らせながら水無月の髪を軽く掴んだ。
「怖くないよ」
 水無月は、まるで病院に来る犬に初めて注射をするように要を宥めながら舌をそっと這わせた。




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悪魔と野犬ノ仔 48話

「ミナ……駄目だ……これ以上したら……」
 要は水無月の舌をゆっくり剥がした。
 透明の糸が伸びて銀色に光ったのが見えて要の下半身を痛いほど刺激する。
 先程までの清らかな顔をしていた水無月の表情は一変し、蕩けたような顔は発情した雌花のように甘く香り立っていた。
 水無月は少し息を荒げながらも再び背筋を伸ばして立つと、要の足の間に入り込み、そして着ていたシャツのボタンを上から外し始めた。
「おい、何を……」
「見てて」
 水無月は挑発するような目つきで服を脱ぎさると一枚の布切れも纏わず要の目の前に立った。
 白くスラリとしたバランスの良い身体は程良く筋肉も付き、中性的なラインが色っぽい。
 滑らかそうな白く美しい肌に、既に赤く膨れて尖った乳首が要の視線で余計に赤みを増しているのが分かった。
 色白な分、赤く膨れた恥部が異様にいやらしく見えて要の鼓動はどんどんと早くなっていった。
 真上に上がった水無月の肉棒からは誘うようにトロトロと透明な液体が出続け、そのまま床へと糸を引いて落ちていった。
「ひどいよ、要兄ちゃん……僕、こんなになってるんだよ……兄ちゃんは、僕を喜ばせてくれないの? 幸せにしてくれないの?」
「幸せ?」
「うん……僕、兄ちゃんに触って……舐めて……ぐちゃぐちゃにされたらすごく幸せなんだ」
「もう……止めろって……おかしくなりそうだ」
 要は方手で顔を隠す様にするが目線は目の前にある赤い小さな尖りを見定めていた。
「兄ちゃんは……人間は色々考え過ぎなんだよ……僕はただ、愛し合いたい……したいこと、したい」
 完全に本能で満たされた水無月は今まで見た事のない程妖艶な目をしていた。
 水無月は要の膝元で四つん這いになるとゆっくり後ろを向いた。そのままグッと尻を突き出すと赤く色づいた蕾が要を誘うようにヒクついていた。
「にいちゃん……交尾しようよぉ」
 切なげな水無月の声と意識が飛びそうな程の光景に要の雄としての本能が目覚めた。
 要は迷いなく両手を伸ばすと水無月の丸い臀部を掴んで広げた。
「あっあんっ」
 突然の刺激に驚いた水無月は潤んだ目で要の方を向いた。
「俺が触ったら幸せになるのか」
 水無月は指を自分の口元に当てながらコクっと頷いた。すると同時に水無月の肉棒の先からタラタラっと液体が零れて床に落ちた。
 要は後ろから水無月の足の間に手を入れ、人差し指でそっと水無月の滑った肉棒の先に触れた。
「ああんっ」
 水無月から高くて可愛い声が漏れる。
「ヌルヌルだ」
「やぁん」
 要はその滑りをたっぷりと指先に付けると、それを後ろの蕾に塗りつけた。
「あっ、あっ」
 水無月の身体は我慢していた期間と比例するように、昔の何倍も敏感になっているようだった。
 要はゆっくりと指を入れ込むと、最初は驚いたようにギュッと締め付けていた括約筋は直ぐに緩んで要の指を飲み込んでいった。
「も、もっと……っ……クチュクチュってしてっ」
「お前、いつからそんなやらしくなった」
 水無月は少し困ったような目をした後、おずおずと口を開いた。
「お、お兄ちゃんがいない時ぼく……オモチャっていうの買ってちょっと使ってみちゃったの……」
「なに」
「で、でも小さいピンクのやつでっ……ブーンってなるやつだけだよっ」
「どこで知ったんだ、そんなもの」
「学校で……お友達になった子たちがそういう話しをしてて、一人でする時こういう道具がとてもいいからって……僕がそういうの知らないって知ったらお店に連れてってくれたの……で、ちょっと……後で一人で買っちゃったの……ごめんなさい」
 口では謝っているが水無月の腰は淫らに上下に動いていた。
「ハァ……まぁ俺がお前を放っておいたから仕方ないな」



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うわわ!
前回沢山の拍手ありがとうございましたー!(汗
・゚・(ノ∀`)・゚・

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悪魔と野犬ノ仔 47話

 水無月は毎晩、要にお呪いの様に少しずつ要の指先や毛先に触れた。
 触れられた所はほんの一部だったが、要はその場所に陽だまりのような暖かさを感じる事が出来た。少しずつだったが、触れられた場所から浄化されるようなイメージが湧いてくるようにさえなった。
「兄ちゃん、明日僕の手伝ってるショップを見に来てよ」
 要は今は大学に行く意味も見出せず休学している状態だ。単に水無月が自分の頑張っている姿を見せようとして言っているのかと思い軽く承諾した。
 次の日、夕方頃要は水無月の通うショップへと顔を出した。
「あっ兄ち……兄さん!」
「あ、お兄さん来たの? こんにちは」
 水無月の横からまるで慣れ親しんだ者のように顔を出して挨拶してきた爽やかな笑顔の男を見て要は無表情のまま会釈をし、「水無月がいつもお世話になっています」と挨拶をした。
 ショップの中には沢山の犬や猫がガラスの個室に入れられていた。その動物を懸命に世話をする水無月はとても優しい顔をしており、まるで会話でもするように上手に相手をしていた。
「水無月くんは本当に動物と会話できるみたいに上手に世話をするんです」
 ショップのイケメン男性が嬉しそうにそう要に言ってきた。
「……」
「それに水無月くんはとても頑張り屋さんで、最近は動物病院なんかにも勉強しに行っているんですよ。僕の知ってる先生に頼んで勉強させて貰いに行ってるんですけど、そこにもお兄さんを連れていきたいって言ってましたよ。仲が良いんですね」
 そこまでの話しは聞いていなかった要は一々報告してくるこの男性に苛立ちながらも表情は変わらずジッと水無月を見ていた。
 水無月の世話で嬉しそうにはしゃぐ犬たちを見ていると、要は無償に嬉しくなってきた。
 ショップの男性が言うように、水無月は次の日動物病院に来るように要を誘った。要は余計な事は言わず、水無月の言うとおりに病院の方にも顔を出した。
 病院の中では包帯を身体の一部分に巻きながらも水無月を見るととても嬉しそうに尻尾を振る犬やじゃれてくる猫の姿があった。
 先生方の処置を懸命に見ながらメモを取ったり、その様子を見る水無月の真剣な表情と助けられていく動物の姿が印象的だった。
 中には心身共に傷ついて人間が怖くなってしまった犬もいた。それでも水無月には少し近寄って来るようになったと先生は言っていた。
「兄ちゃんもあの子みたいなんだと思う」
「俺も犬か」
「うん。だから僕が絶対治してあげるんだ」
 水無月の言葉はとても力強く、それが要に希望すら見せる程だった。
 何回か水無月の通う場所に顔を出していると、要自身も動物と触れ合う機会があった。
 幼い子犬たちは要の事情など知らず無邪気に容赦なく飛びついてきた。要は驚く暇も余計なイメージを持つ暇もなかった。要は思わず子犬たちを抱きとめるとその体温の暖かさに心がとても癒された。
 夜、いつものように要の足下に転がる水無月のふわふわと動く薄い茶色の髪の毛を見ていると、無意識に要はそれに手を伸ばしていた。
 柔らかい糸のような水無月の髪はとても気持ち良く、水無月は嬉しそうに笑った。
 余りに穏やかな気持ちに要は麻痺したように、要はただ無心に水無月の柔らかい頬を触った。久々に触る水無月の肌はとても柔らかく、それでいて赤ん坊のように滑々としていた。
 水無月は大きな瞳を開けると、そのままゆっくりと要の前に立ち上がった。
 要はベッドに足を広げて座った状態のまま突然立ち上がった水無月を見上げた。
 水無月はとても愛おしげな眼差しで上から要を見つめ、そしてゆっくりと顔を近づけた。
 要は放心したようにその天使のような顔を見ていた。ゆっくりと近づいた水無月の唇は要の唇の一センチ手前で止まって目が合った。
 要の内側から眠っていたような欲望が一斉に目覚め、身体中の体温が一気に上がった。頭が真っ白になる程水無月が欲しくなり思わず水無月の両肩を力強く掴んだ。
――しまった。
 途端に要の目の先に黒い煙がモヤモヤと出始めた時だった。
「兄ちゃん……よく見て。僕に触ったらほら……兄ちゃんの黒いのが消えていくよ」
 要は固唾を飲んで自分の手先を見た。すると黒い煙はやはり浄化されるように消えていくのが見えた。
「僕が……チリョウしてあげる」
 水無月は屈むとゆっくり舌を出した。
「お兄ちゃん。舌をだして」
 要は恐る恐る舌先を差し出すと、そこに甘く柔らかな水無月の舌が絡みついた。
 柔らかな水無月の唇が要の唇に触れて要の頭が痺れた。
「ぼくの、飲んで……きれいになるよ」
 水無月の少し冷たい唾液が要の舌を伝って送り込まれると、要はそれをコクっと飲み込む。
 要は内側から化学反応を起こす様に穢れが消えていくのを感じた。




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悪魔と野犬ノ仔 46話

 水無月は狭い部屋でウロウロしながら要の帰りを待っていた。時折気を紛らわす為に蹲ってみたり水を飲んでみたりしていた。
 いつ帰って来るか分からなかったが、毎日毎日家の中にいる間はこうしてウロウロと落ち着かない様子で待っていた。学校やお店に行っている間は帰って来た事を想定してちゃんと置き手紙も置いていた。だが、電話を貰ってから要は未だ家には帰って来ていなかった。東京にはいる筈だったが、なかなか戻って来ない要をただ只管信じて待っていた。
 この日も、水無月は夜中になっていたがベッドには入らずリビングの所でブランケットに包まりながらウトウトして待っていた。物音が聞こえる度にパッと顔を上げて神経を集中させる。
 遠くから微かな足音が聞こえてきた。とても静かな足音で、普通の人間では気付かない程の音だ。自然と気配を消す様にして歩く水無月と同じような歩き方は、水無月の中で一人しか知らなかった。
 水無月はバッと起きて玄関まで走ると、全神経をドアの向こうに集中させて息を止めた。
 カチャリ、とドアが開くと、懐かしい要の顔が覗いて「ただいま」と声が聞こえた。
 水無月は全身で喜びを表すように四つん這いになってキュンキュン鼻を鳴らしながらグルグルとその場で回った。抱きついてはいけないと思っているので喜びを発散させるように物凄い勢いで一旦リビングまで駆けると、また玄関まで勢いよく戻った。
「ミナ。近所にうるさいから走るなって」
「に、兄ちゃんっ!」
 水無月は嬉しくて静かに這い寄りながら要のつま先辺りで“伏せ”をしながら鼻先を少しだけ要の踝辺りに付けた。
「心配かけて悪かった……拓水の所に行ってたんだ」
 水無月はそのままの体勢で静かに要の声を聞いていた。
「ミナ」
 要は水無月の頭に触れようとした自分の左手を途中で止めてスッと水無月から離れた。
 水無月は不安そうな目で要を見上げた。
「お土産、買って来たから」
 要はそう言ってリビングへ向かうと、水無月はそのまま静かに立ち上がって要の後ろへついていった。
 要は北海道のお菓子や海の幸の食べ物を並べて、ついでに途中で買って来たビールも一緒に並べた。
「お前、酒は飲んだ事あるのか?」
 要が水無月に向かって聞くと、水無月は「ない」と少し興味深気にビールの缶を覗いた。
「少し、飲んでみるか?」
「うん」
 要がビールの缶を開けて水無月の前に置くと、水無月はクンクンと開いた口の所から匂いを嗅いだ。
「なんか、良い匂いがする」
「ホップ好きの犬か。変わってんな」
「ほっぷ?」
「まあいい。乾杯」
「かんぱい」
 要の真似をして水無月も缶を持ってコツリと缶を当てて一口飲んだ。
 甘くもなく、辛くもないが飲んだ後に少し苦みが舌に残る感じがして顔を歪めたが、鼻にホップの爽やかな香が広がるとそれが意外と気に入って水無月は少しずつ飲み続けた。
「お前、結構酒好きかもな」
「なんか……おいしくないけど、キライじゃない気がする」
 水無月は両手で缶を持って一生懸命味わっていた。
 要はそんな水無月が可愛くて抱きしめたい衝動に駆られたがグッと堪えた。
「俺、お前にまだ触れないんだ」
「……」
 水無月は缶についた水滴を指先につけながら何も言わずに黙っていた。
「でも、本当は抱きたくて狂いそうなくらいなんだ……それに、一緒にいないと多分、駄目なんだ……矛盾しててよく分かんねぇけど」
 要はグッと残りのビールを飲み干すとグシャっと缶を潰した。
「兄ちゃんは汚れてないよ」
 要は水無月を見た。透明感の強い茶色い瞳は宝石のように綺麗だった。
「大丈夫。僕が兄ちゃんを綺麗にしてあげるし、僕はこれから動物も、兄ちゃんも助けてあげる」
 水無月の白い手が要の頭に伸びると、要は思わず身を引こうとした。
「逃げちゃだめだよ」
 力強い水無月の声が要の身体を縛り、固まった。水無月の柔らかい掌が要の頭に触れると、水無月の腕に黒い蛇のようなものが撒き付いて行く様なイメージが見えて途端に水無月の手を振り払おうとした。
「兄ちゃん。ほら。僕が触った所から段々黒いのが薄くなって消えていくよ? 分かる? ……大丈夫。僕の手はこんなに白いよ」
 水無月の笑顔で要の心臓の鼓動が落ち着きを取り戻した。水無月の腕を見るととても白く綺麗なままだった。
 水無月は「ね?」と太陽のような笑顔のまま優しく要の頭を撫でた。




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悪魔と野犬ノ仔 45話

 時間にするとほんの1時間程しか経っていなかったが、随分と身体も軽く頭もすっきりしたように感じた。
「寝られたか」
「うん」
 拓水に声を掛けられて要は瞼だけ開けて返事をした。
 二人は軽く身なりを整えると、何も食べずにそのまま外へ出た。
 暫く歩くと「ここが俺の大学だ」と拓水が要を案内した。
「拓水授業は?」
「今日はいい」
「……悪いな」
「別に」
 二人は兄弟らしい会話を短くすると、食堂へと向かった。
 メニューを見ると、値段も安い上にボリュームがある定食が沢山あった。
「好きなの食えよ。結構うまいから」
 二人は各々頼むとそれを殆ど会話せずに平らげた。
 学食の場所は広くサボっている生徒もいれば懸命に勉強している生徒もちらほらいた。
「行くぞ」
 拓水に言われて要は席を立った。そのまま再びついて行くと今度は広い牧場や中庭や農園まであった。
 特に何をする訳でもなく、動物や植物に触れながら一日過ごした二人はまたコンビニでビールを買うとそのまま公園に移動した。
 何となく二人はブランコに座ると、思ったより不安定な動きに思わず足に力を入れた。
「二人でブランコなんて……初めてじゃないか?」
「そうだな」
 キーキーという心地よい鉄の音が少しだけ要の心を高揚させた。
「俺は思うんだが、過去ってのはどうしたって変えられないだろ? だからこれからのお前の行動でお前の心を軽くしてやれると思うんだ。人間だからな。それが上手く出来ると思うんだよ」
「……」
「苦しめた相手がいるなら、これから会うものに優しくしてやればいいし、ミナを愛してやればミナがくれる愛でお前も綺麗になっていくと思う……なんか……クサイ事言ってるけど」
 拓水は恥ずかしさで少し眉間に皺を寄せた。だが要はその言葉が何よりも暖かく心を包んでいくのを感じた。
「そうかな」
 要は自分のノイズのような汚れのついた両手を見た。
「ああ。俺はそうやって自分を受け入れて少し立ち直っていったしな」
「うん」
「……俺、多分お前の事、意識して好きだったんだな……で、勝手に失恋して男で、しかも弟が好きな変態だって思い知らされて……でも今は不思議と客観的に見れる」
「……ごめん」
「うるさい」
「……」
「また辛くなったらいつでも来い」
「……うん」
 二人は日が暮れるまでそこで他愛のない話しをしながら酒を飲んだ。
 そして要は拓水が大学に行っている間、近くや遠くの自然に触れて一週間あまり過ごし、そして軽く挨拶を済ますとそのまま拓水の家を出た。
 要は直ぐには帰らず、ゆっくりと時間を掛けて東北の土地を見て回った。
 二週間程経った時、漸く要は水無月に電話を掛けて必ず帰るから待ってて欲しいとだけ伝え、そして一か月後東京に戻った。




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悪魔と野犬ノ仔 44話

 拓水は要が玄関のドアを開けるよりも先に手首を掴んだ。
「待てって……ッ」
 ゆっくりと振り返った要の表情はやはり寂しそうな目をしていた。
「何かあったんだろうが」
 要は拓水の手を振りほどこうとはしなかった。
「話せよ、聞いてやるから」
「……何を……どうやって話していいか分からない」
「話し終わるまで何日でも居ていい」
 要は下を向いたまま片方の口端を少しだけ上げた。
「いいのかよ……俺また拓水を襲うかもしんねぇよ?」
「……今のお前、そんな事出来るぐらい元気には見えないが?」
 要はフンと鼻で自虐的に笑うと下を向いたまま再び拓水の部屋の中に入って行った。
 要は口数少なく「汚い」などと文句をポツリポツリと言いながら拓水の散らかった部屋をただ只管日が暮れるまで片付けた。拓水はそんな要の様子をベッドの上で横になりながら不思議な気持ちで見つめていた。拓水にはその要の行動が自分の心の整理をしているようにも見えた。
「ただいま」
 要は拓水のその言葉でいつの間にか拓水が外出していた事に気付いた。要はどうも暗くてよく見えないと思ったら既に日は落ちて外は青く沈んでいた。
「すごい綺麗になったな」
 拓水は部屋の電気を付けると、コンビニの袋をガサガサと手に持って台所へ移動した。何か食べ物を買って来たようだ。
 要は意外と身体が疲れている事に気付いてベッドに座って溜息をついた。
 拓水は冷えたビールの缶を何も言わず要の前に出し、二人は何も言わず乾杯をして勢いよく飲んだ。
「俺、水無月が好きなんだ」
「……そういう……意味でか?」
「うん」
「……そうか」
「でも、ミナには触れないんだ」
「何で」
 要は残りのビールを全て飲みきると、次の缶を開けた。
 そこからゆっくりと時間を掛けて話し始めると、自分の気持ちと過去に混乱していた幼い自分が少しずつ一致するような気がしてきた。
 拓水は信じられないのか、耐えられなくなりそうな自分をしっかりと保とうとする為なのか、時折頭を力一杯押さえては離すような動作をしながらも最後まで聞いていた。
 話し終わる頃には日が昇っていた。だが二人に睡魔は一瞬たりとも襲って来なかった。
「要……少し仮眠したら、少し散歩に行ってみないか」
「散歩?」
「ああ。ここはいいぞ。自然が豊富で落ち着く」
「……分かった」
 要は眠れそうになかったが、それでも身体は疲れているのが分かっていたので床で仮眠を取ろうと体勢を崩した。
「お前はベッドで寝ろよ」
「いやいいよ」
「いいから」
 拓水は不機嫌そうに要を無理矢理ベッドに上げると、ぶっきらぼうに自分は床でブランケットだけ掛けて横になった。
 要は不思議と心が幼い頃に戻ったように、少し恥ずかしいが、甘えた様な気持ちになって瞳を閉じる事ができた。





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悪魔と野犬ノ仔 43話

 要は飛行機から降りると、途端に肌寒い風が首筋を撫でて肩を竦めた。
 空港からバスに乗り、市内の方へと走る道路はさすがに北海道だけあって広々としている。
 要は市内も観光スポットも一切見ず、只管ある場所を目指して交通機関を乗り継いで進んだ。
 だだっ広い道を時間を掛けてバスで乗って行くと緑の丘に点々と牛が牧草を食べているのが見えてきた。
 要は白い紙切れをポケットから出すと、そこに書かれている住所へと向かった。
 住所先は大学の敷地内にある寮だった。
 そこに書かれている部屋番号のドアのインターホンを押すと、暫くして返事が中から聞こえた。
 懐かしい、聞き覚えのある声だった。
「はい、どちらさまですか」
「……宅急便です」
 中の声の主は不思議そうな間を開けてからドアを少し開けると、要の顔を見て途端に青ざめた。
「よぉ。拓水。久し振り」
「……! 要ッ……なんでッ」
 拓水は慌ててドアを閉めようとしたが、既に要の足がドアの間に入れ込まれ、拓水が怯んでいる間に要はサッと身体を半分部屋へ捻じ込ませてしまった。
 要よりも大きい身体の拓水は怯えた目つきで部屋の奥へと逃げた。
 要はゆっくりとドアを閉めると、散らかった部屋の中に入って行った。
「お前ッ……何勝手に入って来てるんだよ! 出てけよ!」
「汚ねぇ部屋」
「うるさいッ」
 要は勝手に散らかった服やゴミを片づけ始めた。
「触るな!!」
「これ……買ってきたから後で食べて」
 要は買って来た手土産を冷蔵庫に入れた。
「……」
 突然の要の来訪と、久し振りに見た弟の成長した姿に動揺した拓水は固まった表情のまま部屋の隅で立ちつくしていた。
「拓水……老けたな」
「……はぁ?」
「うそ。格好良くなったよ」
 拓水はまるで中学生のように単純に顔を赤らめて怒ったような顔をした。
「何しに来たんだよ……俺はお前なんかに会いたくなかった」
「うん……知ってる……悪い。でも謝りたくなったっていうのと……少し顔が見たくなったから」
 拓水は驚いた顔で言葉を失った。
 今までの要とは何かが決定的に違う、まるで爪と牙を抜かれた猛獣のように思えた。
「悪かった、拓水」
 真っ直ぐ拓水を見る要の顔は青白く、不気味な美しさがあった。だが今まで見た事もない悲壮感が無表情の中に滲み出ている気がした拓水はゴクリと唾を飲み込んでから声を出そうとした。
「おま……」
「じゃあ。それだけだから」
「え?」
 要はサッと身を翻すと、そのまま玄関の方へ向かった。
「オイ! 何だよそれ! ちょっと待て!」
 拓水は慌てて要の方へ走って追いかけた。




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悪魔と野犬ノ仔 42話

「どうして俺は……忘れていたんだ」
 目覚めた要はそう呟いた。
「要ッ……!」
 ベッドの横にいた母親が駆け寄った。
「知ってたの?」
「思い出したの……?」
 母親は苦痛の表情で要を見て、そして要の冷たい手を握った。
 要はその手をそっと力なく除ける。
「ミナは……」
「あ……ああ、ミナちゃんならほら。隣で眠っているわ」
 そして母親は騒ぎのあった後の事を要に聞かれて、直接的な表現を避けながら説明した。
 説明をし終えても要の表情は変わらなかった。
「俺は……」

――とても無力だ。

「あまりに酷い状態だったからカウンセラーに、効くか分からないけれどもって自己暗示の一種なんだけども記憶を仕舞い込んで貰う治療をして貰ったの。そしたらやっぱり事実を受け止めるには幼すぎたのね……あなたの脳はちゃんと自分を守って作用してくれたの……でもいつ何がきっかけで思い出すか分からなくて……母さん怖くて……」
 要の声と目覚めに暗示が解けたように、水無月の目がゆっくりと開いた。そしてハッと気付いたようにベッドから降りた。
「ミナちゃんッ……ダメよまだ動いちゃっ」
 母親の声を振り払い、水無月は要の側へ駆け寄った。
「兄ちゃんっ……兄ちゃんっ」
 要の手を取ろうとする水無月に、要は母親にもしたようにそっと自分の手を触らせないように布団の中へ隠した。
「俺は……汚れているんだ、ミナ……だから触らないで」
「なんでっ……汚れてないよ?!」
「見えるだろ……ほら。こんなに俺は真っ黒でドロドロしている……」
 要は手を見せると、要にだけ見えるドロドロしたものを取ろうと爪を立てて手の甲を傷付け始めた。
「やめなさい要ッ……そんなものはないわ! 大丈夫だから!」
 母親と水無月は要の行為を止めさせようとしたが、要は頑として自分を触らせようとしなかった。

 次の日から、要に心理カウンセラーが尋ねる様になった。
 水無月の方もカウンセリングを受けていたが、水無月は自身の精神を支える強いものがあるという事で大丈夫だと判断され母親たちをとても驚かせた。
 カウンセラーは何度も足しげく要の元を訪ね、分析を重ねてから家族と話し合いの場を設けた。
「あの……要さんは過去の凄惨な事件を未だ生々しく引き摺っておられます。一つ確認したいのですが、要さん自身はその……加害者による性的暴行は受けられたのでしょうか」
「いえ。それは検査の結果受けていないと診断されました」
 カウンセラーは驚いたように目を大きくした。
「そうなんですか? 要さんは自分が穢されたと思っていらっしゃって……そうですか。では少し良い方向へ向く可能性があります!」
 カウンセラーはそう言うと母親たちは神に頼み事でもするような表情で「お願い致します」とお辞儀をした。
 カウンセラーから事情を聞いた要はほんの少しだけ驚いたように瞳を見開き、そして「そう……ですか……」と自分の両手を見つめた。
「まだ……見えますか? その……黒い物体というのは」
「……はい」
「そうですか……まだ急にというのは難しいかもしれませんが少しずつ時間が傷を癒してくれると思いますので焦らずにいきましょう」
「……」

 要は家に戻った。
 ずっと部屋に閉じこもり、部屋には誰にも入れようとはせず会話も極力ドア越しにするようにしていた。
 要は自分が呼吸をする度に黒煙のようなものを部屋に充満させている気がして窓だけは二十四時間空けっぱなしにしていた。
 夜になると、決まってドアの向こう側から聞こえてくる水無月のキュウキュウという心配そうな鳴き声が要の胸を詰まらせた。
 そして要は少しの荷物を手に、そのまま家を出た。

 ドアに向かって要を呼んでも返事がないのを不審に思った母親がついにドアを開けると、そこは蛻の空になっていた。
「いやァァァッ」
 悲鳴の様な泣き崩れる母親の声に水無月が駆けつけた。
「お母さんッ……! どうしたのッ」
「要がいないィィッ」
 要はもしかしたら思いつめて命でも絶つかもしれないという母親の懸念が母親を限界に追い込んだ。
「お母さんッ……大丈夫だよ! 大丈夫だから! 僕が見つけるからッ! お兄ちゃんは死ぬ事は選ばないからッ!!」
 水無月は母親の頭を抱き締め呪文のように何度もそう言い聞かせた。
 水無月は何となく勘が働いた。
「お兄ちゃん、今自分でどうにかしようと頑張ってるんだよ。だから大丈夫。僕、手伝いにいくから」
「ミナちゃん……っ」
「僕、お兄ちゃんを助けるよ、お母さん」
 母親は水無月の白くて柔らかい手を取った。
「優しい子ね……あなただって辛いのに……あの犬は、母犬だったんでしょう?」
 母親はボロボロと涙を流して頬を沢山濡らした顔で水無月を見上げた。
「うん……あの犬も、お母さんだったよ」
 水無月は、あの時残った母犬の顔とまだ暖かかった肉片の感触を思い出した。そして母親をギュッと抱き締めた。
「お母さん、大好きだった。僕にはまだここにもう一人のお母さんも、要兄ちゃんも、お父さんも拓水兄ちゃんもいるよ……まだ皆生きてる……良かった……」
 水無月は大きな瞳から暖かい涙を次から次へと零した。
「ミナちゃん……!」
 母親と水無月は互いに大切な人が生きてる喜びを分かち合うように抱き締め合った。
 そして、要には整理する期間が必要なのかもしれないと考えた家族は、暫く捜索をせずに要からの連絡を待つ事にした。





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悪魔と野犬ノ仔 41話

*グロ、残酷なシーンの苦手な方は閲覧をご遠慮願いますようお願い致します。一気に駆け抜ける為少々長いシーンとなっております。




 要は自分の内側に巣食うドロドロとしたものが穴という穴から出て身体を覆っていくような感覚に襲われていた。

 床が硬くて冷たい。

 要が目を開けるとモノクロの映像が見えた。
 身体中が痛いのはどこかにぶつけたからなのか、横たわる自分の身体をくの字に曲げると小さな膝が見えた。どう見ても二十一歳の膝ではない。精々五、六歳位だ。
 混沌とした記憶の中はとても生々しい悪夢のようで、現実と夢との区別がつかない。

 要は病院先で点滴を受けていたが目は覚めていなかった。
 心配そうに駆けつけた両親と精神的に限界のきていた水無月も一緒に病院で治療を受けている状態だった。
 要の倒れた後、周りで騒ぎを目撃していた人が警察に電話を掛けていた為すぐに駆けつけた警察によって事態は収拾がついたが、母犬と蹴られた子犬は既に死亡しており、怪我を負った女性も救急車で一緒に運ばれた。そして女性に怪我をさせた親犬は保健所に連れて行かれ、母犬と蹴られた子犬は廃棄処分された。
 この騒ぎがきっかけで周りにいる野犬は危険だという事で一掃するという話しになった。
 暴れていた男は薬物を使用しており、元々正気ではなかったようだった。興奮状態の男は訳が分からなかったのか、駆けつけた警察にも鉄の棒を振り回し大分警察と揉み合ったようだったが、そのまま逮捕されたとの事だった。その間、警察官の話しによると水無月は、母犬の肉片やら残骸を懸命に集め、要の所へ戻ると全てを守るように抱き締めてジッとしていたという事だった。
 今は鎮静剤を打ち、要の隣のベッドでよく眠っている水無月だったが、瞑られた瞳からは時折涙が流れていた。



――手が自由に動かない。

 モノクロの世界に未だ囚われたままの要は自分が縛られている事に気付いた。
 冷たいと感じていた床は荒れた木だった。冷たく感じるのは恐らく冬だったからだろう。小さな窓と、木で出来た椅子と机。そして机の上には注射器やら何やら色々とぞんざいに置かれていた。
 要がもがきながら辺りを伺っていると、ガチャガチャと鍵の明く音がした。
 途端に悍しい恐怖感と焦燥感で冷や汗が噴き出た。

――早く逃げなきゃ。

 中に入って来た男は四十代前半位の草臥れた感じの男だった。不健康に頬や手足は痩せていたが、内臓脂肪がギッシリ詰まっているような腹だけは不自然に出ていた。
 男はギシギシと木の床を踏みしめながら近づいて来ると要の前にしゃがみ込み、真顔だった顔の男は瞬時に笑顔に変わった。
 ぞっとする笑みだった。
 弱者が一切逆らえないのを知っていてこれから力を行使する事を思って自然と出る類の笑みだ。
 真っ赤な目の中に真っ黒な瞳は弓なりに曲がり、笑った口の中も井戸の底の様に真っ暗だった。
「本当にかわいいねぇ……かわいいよぉ」
 男はそういうと茶色い舌をヌルリと出して要の顔中を舐め回した。
 地中から出て来た虫が顔中を這いずり回る様な感触に、要は吐き気を催したが口がガムテープで塞がれていた為にグッと堪えるしか出来なかった。嫌がって顔を背けていると、男の舌が要の眼球に入ってきた。
 思わず顔を背けると、途端に頭部にブチブチッと音がなって激痛が走った。要は声にならない叫び声を鼻から漏らして顔を上げると、男の口からは要の黒い髪の毛が大量に垂れ下がっていた。
 男はそれをクチャクチャと咀嚼すると、「おいしいぃぃぃなぁあぁアァ」と素っ頓狂な声を上げて飲み込んだ。
 要は本能で、自分が殺されるよりも恐ろしい事が起こるのを察知すると、目の前が照明を落としたようにどんどんと暗くなってきた。ブラックアウト寸前だった。
 そんな要の前で男はガチャガチャとベルトを外し、そんなに大きくもない汚らしく滑った性器を取り出した。
 当時は恐らくこれから何が起こるのか分からない恐怖だっただろうが、過去を辿っている要には容易に想像が出来た。

――嫌だ……嫌だ……!!

 声を出したくてもうまく出ない。
 覚めたいのに覚める事の出来ない夢の中の苦しみは想像以上で、奥歯がガチガチと震えで鳴った。それと同時に、その恐怖の中で要は異常なまでの男に対する殺意を抱いていた。

――コイツをこの世から抹殺しないとイケナイ。

「そんな怖い顔してもかわいいよぉ……ハァハァ……あれ……お前、入って来たのか?」
 気付くと要の足下に大きな野良犬がいた。開いていたドアから勝手に入って来てしまったようだった。
「コイツねぇ、たまたま餌やったらここに来るようになっちゃったんだよねぇ」

――力を……コイツを殺る力を貸してくれ……。

 犬に頼んだ所で通じない事は百も承知だったが、要は必死に心の中で叫んだ。
 勿論当の野良犬はただクンクンと要の足の匂いを嗅いでウロウロしているだけだった。

 だが、悪夢はそこから始まった。

「アアア……僕ちゃん……そのかわいいオメメで見ててよお」

――……。

 男は汚い性器を出したまま歩くとドアをパタリと閉めた。そして「おいでおいでぇ」と犬を優しく呼び寄せると、尻尾を振って近づく犬を捕まえ、机にあった紙性のガムテープで犬の口を開かないように巻き付け、身体をそのまま押さえつけた。
 男は暴れる犬を後ろから抑えつけながら、性器をギンギンに勃起させていた。
 そして目の前で起こった事は、無意識に今も要の心奥深くに傷を負わせるものだった。

 声にならない奇声を発しながら要は手首を傷付けながらも思い切り手を縛っていたものを引き千切った。丁度紙性で出来たガムテープだったのが幸いして千切る事が出来た為、手が自由になった。
 自由になった要に驚いたのと、男が射精寸前にきていたタイミングが重なって、男の身動きが取れない一瞬を狙い要は椅子を持ち上げた。

「アアアアアアアアアアアアアアーッ」

 要は持ち上げた椅子を迷いなく、寧ろ使命感を持って男に振り下ろした。膝をついて低い姿勢で犬を犯していた男は丁度頭に椅子が直撃し、叫び声を上げて倒れた。
 要の切れ長の瞳はまん丸く鷹の様に見開き、細い腕は眠ってた全ての筋肉が稼働しているのか軽々と椅子を片手で持ち上げる事が出来た。
「やめっ……やめてっ……もうしない……もうしないからぁ」
 脳ミソを揺らされた男は嘔吐しながら命乞いをしていたが、要は男を足で仰向けにひっくり返し股間目掛けて椅子を振り下ろした。
 断末魔のような叫び声を上げた男は飛び出すのではないかという程眼球を見開き悶絶した。
 そして気絶している犬をそのまま、これ以上意識が戻って苦しまないように、抱き締めながら要自ら犬の命を経った。

――ごめん……ごめん……。


――ボクがお前の苦しみを持っていくから……。


 要は立ち上がると机の上に置いてあった何本かの注射を手に取った。中にはまだ液体が入っている。
「それはっ……うぅ……やめッ」
 要はゆっくりとその注射をゆっくりと全て男に打った。




――どうか、死にたい程の苦しみを……永遠に。






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なんか、最早BLはどこへ(笑)
皆さま大丈夫でしたでしょうか。。
これ書いてる最中、反動で次は絶対明るい萌え中心のラブコメ書いてやる!!って精神状態がバランスを保とうとなりました(笑)
最初もっとグロシーンが事細かく描写されてたんですが、読み返したらただのホラーじゃん!
ジャンル間違えた!(>□<)と、割愛した結果がこうなりました(笑)
しかも執筆中気分を刷り込ませる為に、昔フランスだったかな?で発売されたけど余りに暗くて聞いた人たちの自殺が後を絶たなくて絶版になったという曲を聞きながら書いてたもんだから暫く
|||||( _ _)||||| ←こんな感じでした(笑)

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悪魔と野犬ノ仔 40話

「ミナ……あれ、母親か」
 水無月は小さくコクっと頷くと汗がポタリと顎から落ちた。
 母犬は随分年を取って弱ってきているにも関わらずその怒りの迫力はもう一匹の若い犬よりも壮絶だった。
「あれは母親の子か?」
「違う、あっちの犬のだよ……どうしよう……」
 水無月は「お母さんッ、お母さんッ」と母犬に向かって叫んだ。
「なんだ……あのガキ……頭おかしいのか」
 男はジリジリと下がり荷物を片づけていた途中だったのか、空けっぱなしにしてある車のトランクへ近づこうとしていた。だがその動きを見逃さない母犬は同じようにジリジリと男に近づく。
 母親たちは完全に怒りで理性を失っており、要たちが動いても誰かが怪我をするだろう事は分かっていた為下手に動きが取れない。要は正直、水無月さえ怪我をしなければ他の女性たちがどうなろうとどうでも良かった。
「くそ……ッ」
 要はいっそ自分が飛び出して犬を押さえれば少しの怪我程度で済むかもしれないと覚悟を決めた時だった。
 神経をすり減らした男がとうとう女性に向かってその怒りをぶつけた。
「テメェッ……てめェがそれ持ってるからいけねぇんだろうがああッ! 早く落とせよォォオ!」
 女性の方を振り向いた男の顔は酷く汗で濡れていて、叫ぶ口からは唾液が異常に飛び出ていた。また男の足を見ると恐怖でというよりは何か別の症状が原因のような震えでガタついていた。
 その男の形相と叫び声に、思わず女性は「ひぃぃッ」と叫んで子犬を親犬の方へ投げつけた。

(あの女ッ……!)

 要は子犬を投げた女性に親犬たちと同じ目で睨んだ。
「キャンキャンッ」
 砂利に投げ飛ばされた子犬は身体を強く打って痛みを訴える声を上げた。すると親犬は更に歯を剥き出し完全に殺意を持って相手を狙いだした。
「テメェもだよォォッ!」
 もう一人の方を向かって叫んだ男の目は更に充血で真っ赤になっており息も荒く、正気さが見えなかった。男は女性を罵倒しながらついに車の方へ走り出した。
 もう一人の女性も男の狂った様に恐怖して思わず足下に子犬を落とした。
 すると、女性の横を通り過ぎる男が落ちた子犬を白目を剥いたような顔で「アアアッ」と叫びながら思い切り親犬たちとは違う方向へ蹴り飛ばした。
 水無月の顔は一瞬で真っ青に血の気が引き、要も男が一体何をしたのか理解が出来なかった。
 中に浮いた子犬は叫び声すら上げなかった。
 とても高く浮いた茶色い子犬の身体は暗い空に浮いた。そしてその小さな四肢はピクピクと痙攣しているのが見えた。
 水無月がザッと地面を蹴って子犬の落ちる場所へ駆ける。要は怒りで手が痺れ、頭の中でピン、ピン、とピアノ線を弾く様な音が聞こえだした。要は自分の中に仕舞いこんでいた何かが飛び出しそうになって口元を押さえた。
 ほんの数秒だった。だが要にはその間何も聞こえず、何も見えなかった。
 気が付いた時には親犬が子犬を投げた方の女性に覆い被さり腕を噛み千切ろうとしていた。
 もう一人の女性は腰が抜け、失禁しながらも自分だけは遠くへ逃げようと地べたを這っていた。
 そして母犬は真っ直ぐ車の所で背を向けている男に向かってその怒りを全て牙に宿わせ大きな口を開けていた。
 だが男が振り向いた時、男の手にはテントを張る為に使うような鉄の棒が握られていた。
 そしてその棒は振り向くと同時に母犬の身体に鈍い音を立ててめり込んだ。
「ギャウンンッ」
 母犬は悲痛の叫び声を上げて倒れ込んだ。その声にもう一匹の犬は驚いて女性から離れ、男の方に警戒態勢を取った。
 凶器を手にした男は勝ち誇ったようにとても残酷な顔をして母犬に近づいた。そして相手の命が自分の掌にある事に快感でも感じるように真っ赤な目をした男は笑って再び鉄の棒を振り上げて母犬に振り下ろした。
 凶器を振り下ろす男の姿と倒れた犬の姿を見た要は、金縛りにでもあったように身体が動かなくなった。
 男が何度も何度も棒を振り下ろす。時々枝でも折れる様な音が聞こえるのは骨の折れる音だろう、母犬は無残に肉片を散らせていった。
 遠くから叫び声を上げながら走って来る水無月が見えた。

(この男の顔を……俺は知っている……赤い目だった……口が歪んでいて……笑っていた……)

 要の身体はガタガタと震え、硬直したように硬く動けなくなった要はその場に倒れた。
「要兄ちゃんッ?!」
 男にやめてくれと叫ぶ水無月の声が遠ざかる。そのもっと遠くからパトカーの音が近づいて来ていた。
 要は両腕を抱きしめたまま無意識に涙と涎を垂れ流していた。
 最後に聞こえたのは泣き叫ぶ水無月の悲痛な声だった。




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悪魔と野犬ノ仔 39話

 結婚でも認められたような気分の要は今までに感じた事のない照れ臭さと幻のような透明な安心感を得た。
 自分が水無月を幸せにするなんていう事は到底思えなかった。ただこうして水無月を見えない鎖で柔らかく縛りつけておきたかった。
 本当は水無月がいないだけで生きたまま死んでいく人生に思える程、要は自身の人生は味気のないものだと自覚していた。そんな人生でも別に良かったが水無月に夢ができた今、輝く彼に近づく害虫の存在は一切許せなかった。

 水無月は沢山の袋を手に持つと得意気に外へでて東京から買ってきたお土産を近所に配っていた。
 玄関を開けると秋口だというのにまだ残暑の名残が空中を漂っていた。
「ミナ。久々に散歩でも行くか」
「うんっ!」
 日が傾き始めた夕方、少し涼しくなった時を見計らって要たちは餌を持って出掛けた。
 もしまだ犬たちに会えたらという期待を込めて餌を少し多めに用意した。水無月はとても嬉しそうに片手に餌を持ち、もう片手で要の腕に自分の腕を絡ませた。
 少し見ないうちに道路は整備されており、野原だった場所に着くとキャンプ地として若者で賑わっていた。
 要たちの住む村とは反対側の道は道路整備が進んだようで、遠くからでも簡単にこの場所に来られる様になった。
 キャンプ内に入ろうとすると入り口で入場料を取られそうだったので、要たちは一旦山に入って目立たない場所から侵入した。
 まだ整備されていない山は自然のままだったので険しくて普通の人は入ろうとは思わないが、要たちにとっては庭みたいだったのでいとも簡単に侵入出来た。
 段々と薄暗くなってくると、キャンプ地にはオレンジ色のランタンや焚火のような炎が灯されて人間たちの蠢く黒い影を躍らせていた。
 大学生たちが多いのか、まだ大人のような学生のような狭間の雰囲気の若者たちが多い。
 だが中にはどう見ても真っ当な職業ではないような出で立ちの男が数人の若い女性を引きつれてバーベキューをしている姿もあった。
「何だあれは」
「お肉?」
 水無月はどうやら食べ物しか見ていないようだ。
「俺たちも今度……来てみるか?」
 水無月はパッと顔を上げると「いいの?」と嬉しそうに笑った。外で肉を焼く行為の意味は分からなかったが楽しそうで興味は湧いていたようだ。
 暫く敷地内をグルグルと歩いていると、村とは反対の駐車場のある方にまで来てしまった。
「結構歩いたな……帰るか」
「うん……いなかったね」
 二人はもう一度山を通って犬を探しながら帰ろうかと話している時だった。
「キャアアーッ!!」
 高いカナキリ声が駐車場の方から聞こえて要と水無月は振り向いた。
 続け様に違う音色の悲鳴が幾つも聞こえてくると、それに混じって男の低い叫び声と罵倒するような言葉が聞こえて来た。
「何だ?」
 要は急いで騒ぎの場所へ走ると、水無月もそれに続いて地面を蹴って走り出した。
 現場に着いてみると、先程いた変わった身なりの男と数名の女性たちが騒いでいた。
 皆足下で唸り声を上げる二匹の大きな野犬に恐怖していた。怒り狂う野犬の矛先を見ると二人の女性が小さな子犬を抱いているのが見えた。それに応戦する男が持っていたトングのようなものを振り回していた。
「おいッ」
 男たちの近くに着いた要がドスの効いた声を上げると涙を流した女性たちと男が振り向き、そして犬たちも要を見た。
「何してんだお前ッ。早くその子犬を離せッ。親が子犬取られて怒ってんのが分かんねェのかよッ」
 女性たちは青い顔をして子犬を見た。
「え……だって、別に取った訳じゃ……そこに居たから拾って……そしたら大きい犬が出て来て……っ」
「うるせェッ! んなもん、親犬に分かるかよッ!」
 要の言葉に男の表情が変わった。
「そうだ、お前ら……早くそれ捨てろ……」
 女性が腰を下ろして子犬を下ろそう動いた時、同時に野犬が更に大きな唸り声を上げて牙を剥き出して一瞬走り出しそうな動きを見せた。
「ひッ……!」
 動けなくなった女性はどうすればいいか分からずグズグズと泣きだした。

「おかあ……さん?」

 水無月が要の少し後ろの方でそう呟いた。
 要は血の気が引いた。




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悪魔と野犬ノ仔 38話

 何とか休みを合わせて二人は田舎に帰った。田舎に帰る前に拓水に電話をした要は一度拓水の所へ会いに行きたいと電話を掛けたが、「会いたくない」と完結に拒絶されてしまった。
 まだ心の傷を引きずっている拓水と和解するには時間が必要なようだった。仕方なく要たちは母親たちの元へ帰る事にした。
 懐かしい匂いに水無月ははしゃいで浮足立つようにして歩いていた。
 目が休まるような深緑と青空のコントラストが日々募った不安の霧を晴らしてくれるようだった。
 案の定家に帰ると嬉しそうに迎えてくれた母親と父親が色々と世話を焼いてくれた。
 夕飯も終わり、雰囲気の良い時を見計らって要は口を開いた。
「ちょっと、聞いて欲しいんだけどさ」
「何?」
 洗いものをする母親が笑顔で答え、野球中継を見ながら耳だけこちらに注意を向けていた。水無月は要の隣に移動し、ぴったりと要の身体に寄り添った。その様子を父親が目で追っていた。
「俺、水無月が好きなんだ」
「僕もっ……要兄ちゃんが好きっ」
 両親にとっては仲が良い兄弟の悪ふざけにしか見えなかったのだろう。
「はいはい。そりゃあ昔からアンタたちは仲良かったの母さんたち知ってるからね」
 父親は違和感にでも感づいたのか、要を見上げる水無月の表情を見ていた。
「悪い……恋人って意味でこれから一緒にいる事にしたからさ……認識だけしておいて欲しいと思って」
 水無月は初めて自分を好きだと言い、恋人だと言葉にした要に少し驚き嬉しさが込み上げてきた。
 今までジャーと流れていた水道水の音が止まった。
「え? 何? 恋人? ……何言ってるの要」
 母親が前掛けで手を拭きながら要たちの側に近づいた。
 父親の方も姿勢を正して「どういう事だ」と表情を険しくする。
「悪い……俺たちはもう、多分ずっと前から恋人以上の関係で……これからは伴侶としてずっと一緒にいるつもりなんだ」
「兄ちゃん……」
 てっきり物凄い勢いで怒って反対されると予想していた要だったが、母親は俯いたまま何かを考え込んでいた。
 父親も何も言わず、ただ複雑な表情で要と水無月を見つめていた。
「ねぇアナタ……やっぱりまともに育つ訳がなかったのよ……やっぱり私たちの育て方が……ッ」
「よしなさい」
「だってッ! ……やっぱり病院に通ってッ」
「やめなさいッ」
 両親がどうして急に喧嘩をし出したのか分からなかったが、突然出た病院という言葉が引っ掛かった。
「病院って何」
 要がそう聞くと両親は黙った。
「二人が……お互いに必要な存在で……それで幸せならいいじゃないか……」
 父親がそう母親に言った。母親はダイニングテーブルに座ると、顔を覆いながらもゆっくりと二、三度頷きながら「そうね……そうね……」と呟いた。
「なぁ病院ってなんの事だよ」
「いや、別に何でも無い。お前は昔少し変わった病気だったから心配しただけだよ」
 既に普段の表情に戻った父親がそう言い、水無月の所へ近づいた。水無月が要の手をギュッと握った。
「ミナちゃん。要を大切にしてくれるかい?」
「……うん。するよ、ずっと」
 父親は優しい笑顔で水無月の頭を撫でた。
「要は?ミナちゃんをずっと大切出来るか?」
「ああ。するよ……なんか、牧師みたいだな、父さん」
 父親はやはり優しい笑顔で要の頭を撫でた。要は少しだけ照れくさかった。
「お父さん、昔は牧師だったから」
 落ち着きを取り戻した母親は少し笑顔を作りながらそう言った。
「そうなんだ? 知らなかった」
 ずっとサラリーマンだと思っていた父親が昔牧師だったとは要は思いもよらなかった。




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