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悪魔と野犬ノ仔 30話

「弟?」
「ああ」
「そう……別にいいけど……」
「ちょっと変わってる奴だが、あまり気にしないでくれ」
「あ、うん……でもどんな子か楽しみだな」
「俺も……暫くぶりだから……」
 要はそう言って優しく顔を綻ばせた。
「へぇ……要ってそんな顔するんだね」
「何が」
「優しい顔……ちょっと惚れそうになる」
 要はいつもの素っ気ない表情に戻ると、そのまま自室へと戻って行った。

 週末の朝、要は近くの駅に水無月が到着するのを待っていた。
「要兄ちゃんっ」
 電車が乗客を大勢降ろすと、その中から一際目立つ水無月が走って来た。水無月だけが浮き出て来ているような不思議な空気とその愛らしい容姿に周辺の人の視線が水無月に集中した。
 要はそれを避ける様に水無月の腰に手を回すと、そのまま足早にアパートへと向かった。
「ったく……だから嫌だったんだ」
「えっ……何がっ……僕、何かしちゃったの?」
「違う。いいから、着いたらゆっくり話すぞ」
「う、うん」
 要は水無月の担ぐ大きな荷物を無言で取り上げると、それを軽々と方手で背負いサッサと先を歩いた。
「お兄ちゃん、また背伸びたね! 大きいね! 180センチくらい? 僕はもうあまり伸びないみたいだけど、でも僕、髪とか伸びてねっ……でもお兄ちゃん髪切ったねっ」
 興奮するようによく喋る水無月は高揚して頬が赤らんでいた。脈絡のない話し方が可愛い。
 さすがに放ったらかしにしていた要の髪は長髪になってしまったので、それでは弟と会うのに驚くだろうからと尚哉に連れられて髪を久々に切って貰った。
 アパートに着くと、気を効かせた尚哉は出掛けていた。
「ここ……?」
「ああ」
 水無月は中に入ると、尚哉の部屋以外一通り匂いを嗅いで回った。
「お前、動物看護士になるって?」
 落ち着かない様子の水無月に要は飲み物を用意しながら聞いた。
「うん、なる」
「なるにはいいが、別に東京のスクールじゃなくてもいいだろ」
 要は飲み物を机に置くと、水無月の座るベッドの横に自分も腰を掛けた。
 水無月は見事、根性と努力で高等学校卒業程度認定試験に合格する事が出来た。
「僕、兄ちゃんと一緒にいたい」
 要は漸くきちんと正面から水無月を見返した。
 前と違って髪は伸び、表情が豊かになったお陰か、柔らかくなった目元とふっくらとした頬が愛らしさを一層引き立てていた。
「山で怪我した鳥とかいたんだけど、僕何も出来なくて……お母さんが僕とか怪我した時舐めてくれたから同じようにしようとしたら、今のお母さんに怒られたの。ちゃんとした治し方があるから、勉強しなさいって」
「そうか」
 意思を持った水無月の目は力強く今までにはない輝きを放っているように見えた。要にはそれが眩しくて目を逸らしたくなった。
「兄ちゃん……兄ちゃん……」
 水無月は急に甘えたように要に縋りつき全身で会いたかったとでも言う様にしがみ付いた。
 要は水無月の顔を両手で包み込むと、瞼や頬に唇を落とした。
 水無月は甘くて良い香りがした。愛でるつもりで落とした要の唇からは、無意識に赤い舌先が水無月の白い首筋を這っていた。
「あ……ん」
 要は水無月の着る薄いTシャツから突起している乳首を摘まみ上げた。
「あっ、あんっ」
 思わず息が上がった水無月は桜色の薄い舌先を要に差し出した。要はそれをゆっく吸い取ると、軽く遊ぶように甘噛みをしてやった。
 水無月は気持ちよさそうにギュッと目を瞑って要のシャツを掴んだ。
「ただいま~……あ、弟くん来たんだ?!」
 玄関の戸が開くと、尚哉の声が響いて要たちはさっと唇を離した。




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