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悪魔と野犬ノ仔 52最終話

「まあ大きなお庭ねぇ! ねぇお父さん、拓水……あらあらっ。ワンちゃん買ってるじゃない! 二匹も! ……え? まだあっちにもいるの?! えーっ向こうからもっと来るわぁ!」
 自宅兼病院の新築を立てて暫くしてから、要たちは両親と拓水を自宅へと呼んだ。
 田舎だけあって、値段が安いのに土地が広く庭もとても大きなものを作る事が出来た。
 水無月の提案で、預かっている動物たちがずっと狭く薄暗いケージに入っているのは可哀想だ、という事で必要な時以外は庭に放っていた。十数匹の犬たちは元気になると要が瞬時に躾をし、突然来訪者が来ても警戒する事があまりなかった。この躾のセンスが近所でも噂になり、病院としての仕事の他にも躾をする仕事を増やす事が出来た。
 また、特に初めて来る犬は飼い主と離れる事に非情に不安を覚えるが、そこは水無月がとても上手く犬たちとコミュニケーションを取って落ち着かせていた。そんな類稀な診療所の評価は人々の口によって広まり、かなり遠くからでも予約を取ってお客さんが尋ねる事も少なくなくなってきた。
 突然十数匹の犬たちが嬉しそうに母親に向かって走って来ると、母親は驚いて拓水の後ろへ逃げた。
「あ! 皆だめだよ! それはぼくたちのお母さんだからね! こっちにおいで!」
 庭から犬たちを追いかけて出て来た水無月が懸命に犬たちに注意をするが、多くの人間たちが来た興奮で再び水無月に遊ぼうと飛びついていった。
「わあっ」
 最初は注意していた水無月も段々と犬たちの興奮に触発され、自分もウズウズしてきたのか四つん這いになってワンワンっと吠えだした。
「あ、いらっしゃい。悪いさっき終わったばかりだったんだ」
 そんな騒ぎの中、一人涼しい顔で玄関から白衣姿で出て来た要が拓水たちに挨拶をした。
「あぁ……要。何か、凄い事になってんだが」
 拓水は苦笑いをしながら十数匹と一人の興奮した犬たちを指さした。
「ああ。悪いな。いつもなんだ」
 要は白衣を脱ぎながら犬たちの方へ近づくと、その気配に気付いた犬たちが一瞬で顔を引き締め、サッと要の足下に集まった。まだ興奮冷め止まぬ小さな犬たちも大人の犬の緊張感を察して同じように要の近くに集まる。
 要は同じように集まった犬の中でも必ず最初に水無月に手を伸ばし、撫でてやる。この順番で、他の犬が要にとって一番なのが水無月だと認識し、要の大切にしている相手を傷付ける事は許されないのだと理解する。
「あっはっは。まるで犬の親分だな、要」
 父親が愉快そうにその様子を笑うと、つられるようにして拓水と母親も吹き出した。
「まぁ、そんなところだ。中に入って」
 中に入ると広々とした玄関は吹き抜けになっており、高い天井にはレトロチックなファンが回って優しく空気を回していた。内装はオフホワイトの木造で出来ていて、まるで北欧の田舎の家のような落ち着きと気持ち良さがあった。
「まぁ素敵ねぇ!」
 母親は目をキラキラとさせながら勝手に部屋を探索しに回り始めた。
「俺たちそんなにちゃんと料理出来ないから庭でバーベキューとかでいいだろ? 肉とか適当に買ってきたから」
 要が静かにそう言うと、父親が気合いの入った顔で「じゃあお父さんに任せなさい」と言いだした。
 ガタガタと用意をし出すと、その雰囲気にまた興奮した犬たちが周りでウロウロしだしたので、水無月は手作りだが頑丈な柵を庭に設置して枠を作った。
 父親は几帳面に野菜や料理器具を洗うと、食べやすいように綺麗に切っていった。その様子を見ていた拓水は感心してその様子をジッと見ていた。要その様子を横目に見ながら椅子に座ってビールの缶を開けて飲み出した。
「父さんが料理するところなんて初めて見たよ、凄いな」
 拓水はそう言いながら要の持ってきた酒を飲んだ。
「単身赴任が結構あったし、父さんも結婚するまで独り暮らしが長かったからな」
 要は父親と拓水の他愛のない話声を聞きながら、心地よい風を感じていた。
 こんなにも水無月以外の人と自然に居られる事が出来る事に嬉しく思えると同時に、やはり水無月が居たからこそ今の自分が出来たのだと感じて、切れ長の瞳を優しく細めた。
 


 家族の団欒を楽しんだその後、拓水と両親が泊まり、そして次の日には満足気に皆帰って行った。
「楽しかったねっ」
 水無月は小さな室内犬を片手に要に近づいて微笑んだ。
「そうだな」
 要が小さく微笑み返すと、水無月は持っていた犬を床に置いて要の胸に甘える様にすり寄った。こういう時は水無月が発情している時だ。
 要は水無月の髪を軽く掴んで顔を上げた。
「じゃあ今からお前の躾を始めようか」
 昔とは少し違うが、だが純粋に愛と艶を含んだ非情な悪魔のような美しい顔で水無月を見下ろした。
 そして水無月は餌をねだる様な瞳で要を見つめながらゆっくりと足下にお座りをした。

END


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<あとがき>
最後までお読み下さった皆さま本当にありがとうございました。
久々過ぎる連載でしかも長編とまではいきませんが中編ほどでしょうか。途中息継ぎをしながらの連載でしたがそれでも頑張れたのは読んで下さる、応援して下さる皆さまがいたからに他なりません。
私の書く作品としてはエロが少なかったかな?と思いましたが休暇期間が長かったからか、頭のネジを幾つか落としてしまったからなのか、色々どぎつい場面が多い作品になりました(笑)
しかしながらこれでエンジンもかかりましたので、この後は少しお休みを頂いて、明るいエロエロラブを書きたいと思います☆
ありがとうございました!!ヾ(*´∀`*)ノ゛

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00:00 | 悪魔と野犬ノ仔 | comments (9) | trackbacks (1) | edit | page top↑
木戸の憂鬱 | top | 悪魔と野犬ノ仔 51話

コメント

拍手秘コメTさま
∑('◇'*)エェッ!?
一気に読まれたのですかっっ!!
すごい!!
それは寝不足になりますね(笑)でも嬉しい悲鳴でございます!!
ありがとうございます!!

圧巻のヘンタイぶり?( ̄ー ̄)ニヤ...
うふふ。ありがとうございますvv

少しでも幸せな気持ちになって下さって本当に嬉しいです(*´∀`*)
BLバンザイ!
わあ!私にも万歳ありがとうございます!

はい!何とか次回を!と思っていますがちょいと年末に向けて忙しくなり;
でも書きます!絶対!
主人公は決まってます!
お楽しみにして頂ければと思います☆

最後までお読み下さってありがとうございました(*´∇`*)

拍手秘コメありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/12/12 01:11 | URL [編集] | page top↑
拍手秘コメTさま
∑('◇'*)エェッ!?
一気に読まれたのですかっっ!!
すごい!!
それは寝不足になりますね(笑)でも嬉しい悲鳴でございます!!
ありがとうございます!!

圧巻の変態ぶり?( ̄ー ̄)ニヤ...
うふふ。ありがとうございますvv

少しでも幸せな気持ちになって下さって本当に嬉しいです(*´∀`*)
BLバンザイ!
わあ!私にも万歳ありがとうございます!

はい!何とか次回を!と思っていますがちょいと年末に向けて忙しくなり;
でも書きます!絶対!
主人公は決まってます!
お楽しみにして頂ければと思います☆

最後までお読み下さってありがとうございました(*´∇`*)

拍手秘コメありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/12/12 01:10 | URL [編集] | page top↑
拍手秘コメH.Aさま
二人とも最後には幸せになれたのは私としても本当に良かったと思います(*´∀`*)
色々あったけどお互いの欠けている部分を補いながらこれからも暮らしていけるんじゃないかなって思いますv
らぶらぶエロ沢山見て頂いて喜んで頂けて嬉しいですー!
最後までお読み下さって本当にありがとうございました!

拍手秘コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/09/04 00:39 | URL [編集] | page top↑
拍手秘コメS.Wさま
楽しく読んで下さってありがとうございます!

確かに血みどろの展開の辺りから、どうすんのこの子たちは……!∑(°ロ°*)
という感じでしたが何とか乗り越えてくれて本当に良かったです(´∀`*)
ラストに満足したと仰って頂けて感無量でございます!!

こちらこそ最後までお読み下さってありがとうございました(*´∀`*)

拍手秘コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/08/16 23:44 | URL [編集] | page top↑
拍手秘コメさま
(ノ*´Д`)ノオォオォ
引き込まれたと仰って頂けて本当に嬉しいです!
新鮮でしたか?!Σ(゚□゚
うわわ初めてです、そう仰って頂けたのは!!
。゚(。ノωヽ。)゚。
嬉し過ぎて瞳からナイアガラの滝が。。

次回作も楽しみにして下さるとの事で私も気合い入れて萌え要素をかき集め、盛り込んでいきたいと思います!

最後までお読み下さって有難うございました(*´∇`*)

拍手秘コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/08/03 01:02 | URL [編集] | page top↑
けいったんさま
> 要は 優秀な獣医に ミナは 優秀なトレーナーに!
> 優秀な2人がいるなら 私も ペットを預けたくなります。
> いないんだけどね…(´>∀<`)ゝ))エヘヘ

ペット……イイコが揃っております当店で見て行かれませんか… ー ̄) ニヤッ
二人は自分たちの特性を生かしてとても良いパートナーになっているようです( >ω<)9
プライベートでも仕事でも、二人なら相性は抜群間違いなしだと思います!
色々と……(-m-)ぷぷっ

> 桔梗さま曰く、今作品は いつもより エロ少なめだと仰ってますが、その数少ないエロでも ただのエロじゃなくて 心を通わせる 素敵なものでしたよ!
> 「量より 質」を感じました♪

(ノ*´Д`)ノオォオォ
なんと嬉しいお言葉!!!
ありがとうございます!!嬉しいです。゚(。ノωヽ。)゚。
確かに癒しを含んだエロは初でした。
そういう意味ではちょっと表現など難しかったですが要が乗り越えてくれたのであとはミナに任せて私はコッソリ覗いていようかと思います[壁]д・)チラッ


> 次作品は、明るいエロエロラブとの事 楽しみに お待ちしてます。

待って下さるとのお言葉ありがとうございます!!!
次こそはキュンキュン要素と萌え要素を含んだものに挑戦したいです!
(`・ω・´)ノ ァィ

> まだまだ暑い日が続いておりますが、桔梗様も 熱中症に 気を付けて くれぐれも お体に無理の無い様に お過ごし下さいませ。
> ヽ(*^-^o【─+゚*。─暑中見舞い─。*゚+─】o^-^*)ノ...byebye☆

ありがとうございます(*´д`*)
確かに今私の周りでも結構老若男女、熱中症で具合悪くされる方が多いので必要以上にスポーツドリンク飲んでいます(笑)
太る。。(笑)
けいったんさまも家の中にいても気を付けてこまめに水分取ってくださいね!
暑中見舞いまでありがとうございます。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚

最後までお読み下さいましてありがとうございましたヾ(*´∀`*)ノ゛

コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/08/03 00:56 | URL [編集] | page top↑
みはさま Re: 絶望の淵から
> 今日はオープンコメで~(*´∇`*)

・:*:・:オォオォ(*´∀`人):・:*:・

オープンありがとうございます♪


> 完結、おめでとうございます(*^o^)/\(^-^*)
> 連載、お疲れさまでした!
> 中編とは思えないほど、濃厚なお話になりましたね(*^-')b

ありがとうございます!!(涙
約一年程ブランク空けての中編でしたのでちょっとたどたどしくなってしまいましたが書きながら少しずつ思いだしてきた感じがしました(笑)
濃厚なお話と感じて頂けて恐縮でごすーっ!
ヾ(´д`;)ノぁゎゎ


> 要の心の暗い淵。絶望的な墨色がいつしか澄むまで、絶えることなく清らかな水を注ぐように、水無月は要を抱き締める。
> 水無月は、要の闇を照らす月。渇れない水をたたえた月。
>
> 陰惨な経験も、憐れな過去も、変えることはできないけれど、それ故に強く固く結ばれた、お互いでなければならないという必然。
> 洗いざらいに、剥き出しの心と体でどこまでも貪欲に求め合う二人の官能に酔いしれました。

私はみはさまの言葉に酔いしれました…(*´д`*)
素敵な表現にいつもながら話が作品が二割増しに思えます(笑)
しかしながら凄惨な過去があって尚更二人は、お互いでないといけないと強く認識を出来た事だと思います。
みはさまの仰るとおり、一点の曇りも迷いも先入観もない、清らかな水を持っているのは動物特有の性質を強く持っている水無月だからこそ出来た事であり、要の救いになれたのだと思います(*´∀`*)
官能に少しでも酔って頂けて本当に嬉しいです!!(*ノωノ)ポッ


> ラストシーンの、壊れることのなかった家族の風景が眩しい幸福に満ちて。
> いつになくはしゃぐ父母の無邪気に、拓水兄の穏やかさに、かつての苦悩を思い、乗り越えるということの強さを思い、心が揺さぶられました。
> たくさんの犬たちが転げ回り、「犬祭り」が繰り広げられているのも楽しかった。

犬祭り!可愛いですー!ヾ(*´∀`*)ノ゛
でも確かにこれだけ沢山は犬祭りに他なりませんね!(笑)
要も自分が苦脳を乗り越えて漸く人に優しくなれ、そして身近な人たちの存在を違和感ではなく心地よさと感じられるようになれたのは本当に良かったと思います!


> 桔梗さんならではの力強い物語、堪能させていただきました。
> ありがとうございました。
> 復帰してくださって嬉しかったです\(^o^)/

初期はもう本当、、本能のままに、煩悩のままに突っ走って書いてましたね(笑)
今もそうですが、少し物語性をきちんと構成して書く練習をしたいと思います!_〆(`д・´*)カキカキ
復帰を喜んで下さって、そしてまた拙宅に遊びに来て頂けてとても嬉しかったです!
ありがとうございました(*´∇`*)


> 次作はエロラブですかO(≧▽≦)O
> 楽しみに待っておりますからね~!
> 暑さ厳しい毎日ですが、お体大切になさってくださいね( ´∀`)/~~

待って下さるとのお言葉ありがとうございます・゚・(ノ∀`)・゚・
頑張ります!
まだまだ夏はこれからですものね…(´Д`A;)
みはさまもお身体ご自愛下さいね!

最後までお読み下さってありがとうございましたヾ(*´∀`*)ノ゛

コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2013/08/03 00:44 | URL [編集] | page top↑
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このコメントは管理者の承認待ちです
さん | 2013/08/02 07:50 | URL [編集] | page top↑
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このコメントは管理者の承認待ちです
さん | 2013/08/02 06:33 | URL [編集] | page top↑

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真夜中のユートピア 悪魔と野犬ノ仔 52最終話
2013/10/19 (Sat) 18:16 | gucci 財布
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